entertainment - エンターテイメント : 毎日を楽しく彩るゲイテイストなエンタメ情報

Top » Entertainment » 2010年 » 03月 » アカデミー賞授賞式閉幕:ゲイ的にも見所の多いイベントでした

Special

アカデミー賞授賞式閉幕:ゲイ的にも見所の多いイベントでした

第82回アカデミー授賞式をゲイ的な視点でレビュー!

第82回アカデミー賞授賞式が閉幕しました。結果に関してはTVでもネット上でもニュースとして伝えられています。が、Gay Life Japanでは、ゲイの視点で今年のアカデミー賞がどうだったのか?という切り口で、様々お伝えいたします。

 注目を集めていた第82回アカデミー賞授賞式が開催されました。
 平日の昼間の時間帯ということでリアルタイムにご覧になった方はあまりいないと思いますが、結果に関してはTVでもネット上でもニュースとして伝えられていますね。
 Gay Life Japanでは、ゲイ的な視点で見たときに今年のアカデミー賞はいったいどうだったのか?というところをお伝えしたいと思います。

「ゲイ・オスカー」(ゲイに関連する作品の受賞結果)

 作品賞や監督賞は『ハートロッカー』が受賞し(キャスリン・ビグローが女性として初めてアカデミー受賞監督となりました)、『プレシャス』は助演女優賞と脚色賞の2冠に終わりました。それでも監督2作品目で6部門ノミネート&2冠達成は本当にスゴイことです。
 主演女優賞の発表では、壮絶な虐待を受ける主人公プレシャスを演じたガボレイ・シディベに対し、同作品のプロデューサーであるオプラ・ウィンフリーが「あなたはアメリカのシンデレラ」と語りかける場面もあり、ガボレイはあふれる涙を何度も何度もぬぐっていました。
 リー・ダニエルズ監督や『プレシャス』の出演者、スタッフの方たちに心から拍手を贈りたいと思います。

 実は『プレシャス』の脚色賞や助演女優賞の発表の前に、今回のアカデミー賞で初のゲイ・オスカーの発表がありました。それは、短編実写賞を受賞した『The New Tenants』という作品(監督:Joachim Back 写真右)です。『The New Tenants』は、狭いアパートで共同生活をはじめる2人のゲイが主人公で、ほかにもおばあちゃんがいたり、クスリの売人がいたり、事件が起こったり、ありふれたニューヨークの光景が繰り広げられていく、という作品です。
 ステージに上がったJoachim Back監督は、恐縮した様子でこんなふうに語りました。「びっくりして、踊り出したいくらいです。美しいキャストたち、プロデューサー、このプロジェクトに関わってくれたすべての人に感謝します」
 
 もう1つ、大きな期待が寄せられていたのが、主演男優賞候補のコリン・ファース(『シングルマン』)でした。結果、主演男優賞は『クレイジー・ハート』のジェフ・ブリッジズが受賞し、コリン・ファースは涙を飲みました。
 これに関してアメリカのゲイメディアでは「アカデミーはコリン・ファースのゲイの演技を鼻であしらった」などと批判する記事も見られました。ベネチア映画祭と英国アカデミー賞(BAFTA)で主演男優賞に輝き、批評家からも賞賛されていたのに、なぜアカデミー賞はもらえないのか?というわけです。
 また、この『シングルマン』が、国を二分する議論となっている同性婚の問題を暗に訴えていたために受賞を逃したのではないか?とも言われています。Sparxooというサイトにはこう書かれています。「『シングルマン』が描くのは1962年、突然恋人を失ったゲイの大学教授ジョージ・ファルコナーのシェイクスピア的な悲劇だ。ジョージの恋の報われなさは、ゲイに対する抑圧と非寛容を爆発的に描く。1962年、黒人解放運動、女性解放運動、反戦のプロテストが一気に高まりを見せた時代から半世紀近く経って、この国のゲイ解放運動はどれほど進んだのか?ということをまざまざと思い知らせるようだ。『シングルマン』は現在の同性婚の議論に対し、熱いボタンを押す作品なのだ」

 昨年は『ミルク』が主演男優賞と脚本賞に輝き、『それでも恋するバルセロナ』が助演女優賞を獲得し、ゲイたちは喜びとともにそれを祝福しました。が、今年は「ゲイ・オスカー」的には少しさびしい結果と言えるのかもしれません。

イベントとしての授賞式は、ゲイ要素が満載!


プロデューサーをつとめた
アダム・シャンクマン
 アカデミー賞は受賞結果だけではありません。司会やたくさんのプレゼンテーターが登場し、華やかなアトラクションがいろいろ用意されています。
 そちらに目を向けて見ると、実はかなりゲイゲイしい授賞式だったことがわかります。

 まず、今回の授賞式のプロデューサーをつとめたのが、『ヘアスプレー』の監督であるアダム・シャンクマン。「見た目はとても大事。ちょっとでも良く見えるようにっていうゲイコミュニティのプレッシャーもあるし、僕自身、売り出し中だしね」と言っちゃうくらいのオープンリー・ゲイです。
 
 おそらく彼の意向もあったのでしょう。栄えある第82回アカデミー賞授賞式のオープニング・アクトを務めたのが、オープンリー・ゲイの俳優、ニール・パトリック・ハリス(写真右)でした。古き良き時代のハリウッドのナンバーにのって歌って踊り、クラシックなミュージカル・ショーを披露しました。(昨年はヒュー・ジャックマン&アン・ハサウェイによる同様のショーでした)

 プレゼンテーターをつとめた面々もゲイだったり、ゲイを演じたことのある俳優だったりがズラリ。(さすがはアダム・シャンクマン)

衣装デザイン賞のプレゼンテーター
をつとめたトム・フォードとサラ・
ジェシカ・パーカー(右の2人)
 衣装デザイン賞のプレゼンテーターとしてサラ・ジェシカ・パーカーとともに登場したのが、ファッション・デザイナーであり、『シングルマン』で映画監督デビューも果たしたトム・フォードです。(なんて素敵なツーショット!)
 また、外国語映画賞のプレゼンターとしてクエンティン・タランティーノとともに登場したのが、『オール・アバウト・マイ・マザー』でオスカーを受賞したペドロ・アルモドバルでした。
 ほかにも、『ホーム・アローン』のジョン・ヒューズ監督の追悼の場面では『トーチソング・トリロジー』『プロデューサーズ』のマシュー・ブロデリックが登場し、脚色賞では『ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ギレンホールが、助演女優賞では『バードケージ』のロビン・ウィリアムスが、長編ドキュメンタリー賞では『リプリー』のマット・デイモンが、主演男優賞では『アレキサンダー』などでゲイを演じたコリン・ファレルと、『めぐりあう時間たち』などでレズビアンを演じたジュリアン・ムーアが、主演女優賞の発表には『ミルク』のショーン・ペンが、そして最後の作品賞の発表には、『フィラデルフィア』でゲイのエイズ患者を演じてオスカーを受賞したトム・ハンクスがプレゼンテーターを務めました。(「ゲイ」が隠れたキーワードだったのではないかと思うくらいです)

 もう1つ、受賞者のスピーチもアカデミー賞の大きな見所です。
 「なるべく簡潔に、泣きすぎないように」といった演出上の注文がなされているそうですが、何を話すかは、本人に任されています。その「生」な感じが大きな感動を呼んだり、後世まで語り継がれるような伝説となったりします(トム・ハンクスが『フィラデルフィア』で主演男優賞を受賞した際、彼の高校時代の「ゲイの」演劇講師への感謝を述べたため、全世界にゲイだと知られてしまった演劇講師は、TVの前で驚いたというエピソードが有名です)
 世界が注目するオスカーのスピーチの中で、今年最も感動を与えたと言われているのが『プレシャス』のモニーク(写真右)でした。彼女は必死に涙をこらえながら、こう語りました。「まずアカデミー協会に感謝します。なぜなら私が受賞できたということは、政治の力ではなく、アカデミーが実力を認めてくれたという証拠だから。『プレシャス』ファミリー、そして誰よりも私の愛する夫! あなたの励ましは正解だったわ。『人気が出ることよりも正しいと思えることをしなさい』と言ってくれたあなたがいたから、今私の手にオスカー像があるの。本当にありがとう」
 史上初の主演女優賞&ラジー賞(最低女優賞)の同時受賞となった『しあわせの隠れ場所』のサンドラブロック(写真右)の受賞スピーチは、映画と同じようにユーモアにあふれ、ドラマチックでした。彼女はまず、共演者やプロデューサー、夫へのお決まりの謝辞の後、「この賞を、子育てをするすべての母親たちと親のない子どもたちに捧げます」と述べ、「とりわけこの人に感謝を」と言って、自身の母親ヘルガへの思いを語りはじめました。サンドラの母親は、サンドラが「男の子の車に乗って出かけないように教育し、ピアノを習わせてくれた」そうです。そして、「人種や肌の色、階級、性的指向で人に優劣をつけることはできない」とも教えてくれたそうです。黒人だろうと貧乏だろうとどんな子どもにも愛される権利がある…それはまさに『しあわせの隠れ場所』のテーマですが、そこで「ゲイの子も」と言うのを忘れなかった母親の素晴らしさに、予想外のところで感動を与えられました。

 
 こうして、世紀のイベントが、様々なドラマを繰り広げながら幕を下ろしました。
 きっと日本のメディアでは詳しく伝えられることのないだろう、ゲイに関連する(ゲイテイストな)ポイントをまとめてお送りしました。
 『プレシャス』はGWに、『シングル・マン』は秋に日本でも公開が予定されています(もしかしたら映画祭でもプレミア上映されるかも?)。上映される日を楽しみに待ちましょう。



【参考記事】
Oscar post no. 3(dallasvoice.com)
http://www.dallasvoice.com/instant-tea/2010/03/07/oscar-post-no-3/

Academy Snubs Colin Firth's Gay Role(OnTopMagazine)
http://www.ontopmag.com/article.aspx?id=5387&MediaType=1&Category=4

Jeff Bridges Wins Oscar Leading Role(Sparxoo)
http://sparxoo.com/2010/03/07/jeff-bridges-wins-oscar-leading-role/

Adam Shankman: Just call him Oscar's choreographer(the Envelope)
http://theenvelope.latimes.com/la-ca-shankman7-2010mar07,0,3331674.story

Sandra Bullock Gets Emotional, Gay Inclusive(Advocate.com)
http://www.advocate.com/News/Daily_News/2010/03/07/Best_Actress_Sandra_Bullock_Gets_Emotional_Gay_Inclusive/