ルーファス・ウェインライト? 名前は聞いたことあるけど、ピンとこないかも…という方、多いかと思います。映画『ブロークバック・マウンテン』のエンディングに流れていた曲を歌っていた人、と言えば、ああ!とイメージできることでしょう。『Maker Makes(神は作りたもうた)』は、本当に映画の世界観を見事に体現した、美しくもせつない名曲でした(歌詞はこちら)
ルーファス・ウェインライトは、70年代に活躍したシンガー・ソングライター、ケイト・マクギャリルとラウドン・ウェインライト3世という音楽一家に生まれ、幼少の頃、母ケイトと妹のマーサとともにカナダのモントリオールに移り住み、母や叔母のグループ、マクギャリル・ファミリーとツアーに出たりしていました。14歳の時に『I'm A-Running』という自作のポップソングを演奏しながら映画に出演し、カナダのオスカー、ジーニーのThe Best Song In A Film部門とカナダのグラミー、ジュノのThe Most Promising Young Artist部門にノミネートされました。NY州にある名門校、ミルブルック・スクールへ入学し、卒業後、モントリオールのカフェ・カルチャーに浸りながら作曲や演奏に専念する中、ポップ・ソングライターとしての声を発見、そして、子どもの頃から惹かれていたオペラと、当時若者を虜にしていたロックに興味を示し始め、ポップスとオペラを合わせた造語"ポペラ"、あるいはモダン・スタンダードと呼ばれる華麗でドラマティックな音楽を生みだし、賞賛を浴びるようになりました。
映画『ムーランルージュ』に『Complainte du la butte』を提供したり、ダイドとのデュエット曲『I Eat Dinner』が『ブリジット・ジョーンズの日記』に使われたり、『シュレック』の『hallelujah』が評判になったり、スコセッシ監督の『アビエイター』にも登場したり、多方面で活躍し、今や、エルトン・ジョンやモリッシー、シザー・シスターズらがリスペクトを表明するアーティストとなっています。
ルーファスは、14歳で自分がゲイであることを自覚し、18歳で家族に打ち明け、やがて世界に向けてカミングアウトし、話題になりました。
『Rules and Regulations』などのPVでは、彼のゲイらしいセンスがいかんなく発揮されていて、とても楽しいです。救世主がゲイになって甦ると歌う『Gay Messiah』も、ライブではかなりショーアップされたエンタテインメントになっています。そして極めつけは、伝説のジュディ・ガーランドの復活コンサートを再現するというツアーでした。もちろん『Over The Rainbow』も歌うし、『Get Happy』ではジュディ・ガーランドになりきった女装で、観客を大喜びさせています。
Rufus Wainwright - Cigarettes And Chocolate Milk
天才シンガーソングライターと言われるのがうなずけます。
Rufus Wainwright - Somewhere Over The Rainbow (Palladium)
ジュディガーランドの、というより、ゲイパレードのテーマソングである『Over The Rainbow』。なんとピアノ伴奏はお母様だそうで、ゲイの息子とその母という視点で観ると、ちょっと泣けてきます。
Rufus Wainwright sings "Get Happy" at Glastonbury 2007
ジュディガーランドの『Get Happy』をカバー…っていうか衣装やダンスまでカンペキにコピーして女装でやるのが恒例になっているようで、オーディエンスも「待ってました」的な大喝采(これを公共放送で流す英国って本当にステキです)
映画『ブロークバック・マウンテン』のエンディング(タイトルロール)で流れ、世界中の観客を泣かせた『Maker Makes(神は作りたもうた)』。映画の世界観をこれ以上はないくらい見事に描いた、美しくもせつない名曲です。サントラはゲイにこだわらずいろんなアーティストが参加しているのですが、ルーファスがこの歌で締めてくれて本当によかった…と思います