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ココロのビタミン vol.3

ゲイテイストムービーガイド

DVD派のアナタに贈るゲイテイストムービーの特選ガイド。第3回目は、世界のゲイたちのバイブル『ドリームガールズ』です。(Junchan)

第3回 ゲイのバイブル『ドリームガールズ』

 『ドリームガールズ』も当然、観た方が多いでしょうが、また観たい!と思っていただければ幸いですし、まだの方のためにも書いておこうと思います。
 まず、2007年1月に試写会で観て興奮さめやらぬうちに書いたレビューをご紹介したいと思います。

また1つ、ゲイのバイブルとなる映画が誕生しました。
 『吉原炎上』『疑惑』『女囚さそり』のように女のドロドロや裏切りがエグいほどに描かれ、『Wの悲劇』や『ショーガール』のようにステージへの熱い(熱すぎてヤバい)情熱が惜しげもなく表現され、『嫌われ松子の一生』のようにたぎるような恋の情念と女の業がぶちまけられ、『プリシラ』のようにウットリ&大興奮なショータイムが大量に披露され、『リトルダンサー』のように名もなく貧しい子どもが世界的スターとしてはばたくというシンデレラストーリーでもあるのです。そして、まるでUCの寸劇のように(笑)女同士の友情やどこか前向きな「よかったね」を感じさせるのです。
ゲイテイストな名作に必要なエッセンスはすべて、この映画に詰まっています。ゲイ好きするものだけで創り上げたと言っていいほどです。
ビヨンセもそりゃあカッコいいのですが、大型新人女優ジェニファー・ハドソンが本当に素晴らしい。ブスでデブでひがみっぽい女の苦しい生き様を見事に演じ、泣かせます。さすがはアカデミー助演女優賞(僕的には主演だと思いますが)
一緒に観た野郎系な友達も「あれをやれるなら女装してもいい」とすら言ってました。
実際、今後、二丁目で、堂山で、全国で何度となく『ドリームガールズ』が演じられることでしょう。
これはゲイの歴史に永遠に残る映画です、まちがいなく。
もう、何回でも観ちゃってください。ハンカチ用意して。

 というレビューでしたが、予想通りゲイシーンでいろんな人たちが『ドリームガールズ』を演じたばかりでなく、世間までがこれをマネることになりました(なんとか美容室ってどう見てもそうですよね?)

 そんな『ドリームガールズ』、いったいどうしたらこんな傑作ができるんだろうと思っていたら、それもそのはず、脚本&監督がビル・コンドンだったのでした。この人、伝説のゲイ映画『ゴッド・アンド・モンスター』の監督で、これまたゲイのバイブル『シカゴ』の脚本、感動の名作『愛についてのキンゼイ・レポート』の監督なのです。もちろん、本人もゲイ。
 おそらく自身の経験が反映されているのだろうと思いますが、ビル・コンドンは、困難にぶちあたって苦しみながら必死で立ち上がろうとする人々へエールを送る、困難を知っているからこその感動を生みだせる作家だと思います。
  『ドリームガールズ』ではジェニファー・ハドソンが演じたエフィはまさにそうした役柄でした。歌唱力はダントツで素晴らしいのにデブでブスだからという理由でメインから外され、落ちぶれていく悲劇のヒロイン。彼女の歌う「And I Am Telling You I'm Not Going」は、魂の名曲として映画史に残る奇蹟の感動を喚び起こします。
  『ドリームガールズ』はダイアナ・ロスとシュープリームスをモデルにしていると言われていますが、エフィにあたるフローレンス・バラードはシュープリームスをやめたあと、アル中になり、失意のうちに32歳で亡くなってしまいます。この映画は、その悲惨さを忠実に再現するのではないやり方で、フローレンスを、そして観客たちを救ってくれます。そこがビル・コンドンらしい、泣かせのツボだと僕は思います。

 


ドリームガールズ』 DREAMGIRLS
監督・脚本:ビル・コンドン (『シカゴ』脚本)
出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ダニー・グローバー、アニカ・ノニ・ローズ、ジェニファー・ハドソン
2006年/アメリカ/2時間10分/配給UIP映画