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Special

ナチスと社会主義、両時代のドイツを生き延びた実在のゲイを描く演劇

トニー賞、ピュリッツァー賞などを受賞した『I Am My Own Wife』が上演されます

『I Am My Own Wife』は、ナチスの迫害を逃れ、東ドイツで秘密警察の目を盗んで30年間も地下でキャバレーを経営して生き延びた実在のゲイ(もしくは異性装者)、シャーロッテ・フォン・マーシュドルフの生涯を描いた演劇です。2004年度トニー章、ピュリッツァー賞授賞作品です。

『I Am My Own Wife(私が私自身の妻)』は、ナチスと社会主義、両時代のドイツを生き延びた実在の同性愛者(異性装者)、シャーロッテ・フォン・マーシュドルフの生涯を描いた演劇作品です。
劇団「燐光群」によって、2月6日から吉祥寺シアターにて上演されます。
ぜひその驚くべき生涯の真実に触れてください。



※海外での公演のイメージ画像です


私、真実なんて、少しも怖くありませんわ。

ベルリンの壁が崩れた後、見つかったのは、東ドイツにたった一つ残っていたワイマール時代のキャバレー。
それは、マールスドルフの「彼女」の家の地下に隠されていました。
「彼女」は、秘密警察(シュターゼ)の監視の目をかいくぐって、三十年近くもそれを経営していたのです。
「彼女」は言いました。「私が私自身の妻なの(アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ)」
現代ニューヨークを生きるゲイの劇作家と、東ベルリン・アンダーグラウンドの生き証人、シャーロッテ・フォン・マールスドルフの、官能に満ちたスリリングな邂逅!

 

作品について

『I Am My Own Wife(私が私自身の妻)』は、2004年トニー賞(作品賞)・ピュリッツァー賞を受賞し、他にもドラマ・デスク賞、GLLADメディア賞、ドラマ・リーグ賞、アウター・クリティックス・サークル賞、ルシル・ローテル賞…アメリカを代表する演劇賞のほぼ全てを独占したアメリカ最新戯曲です。

 作者は『グレイ・ガーデンズ』『リトル・マーメイド』『SAYURI』を手がけた劇作家、ダグ・ライト。ナチスと社会主義、両時代のドイツを同性愛者(異性装者)として生き延びた実在の人物、シャーロッテ・フォン・マーシュドルフ(写真右)への2年間のインタビュー、数年がかりの文通を経て、10年の歳月をかけて完成させました。

 シャーロッテは、東ドイツ生まれの「男性であり女性である」人物であり、同性愛者・服装倒錯者として遇された彼は、幼少期から戦時下にかけて、ナチスや父親による迫害など、多くの虐待と差別を受けました。戦後は、古物商など事業による成功、東ドイツでの秘密警察「シュターゼ」による新たな弾圧と挫折、同性愛者の救援活動、社会からの非難と復権など、2002年に亡くなるまで、波乱に満ちた生涯を送っています。インタビュアーである作者をも翻弄するほどに、自らの信念と美学に沿って、虚実の境界を超越して生きた人物の姿が示されていきます。
 
 日本版の演出を担当する坂手洋二は、アメリカ版をさらに発展させ、アンサンブルを重視した新バージョンとして演出します。
 坂手洋二と劇団「燐光群」は、これまでにも『ララミー・プロジェクト』というマシュー・シェパード殺害事件(ゲイバッシングによって若者が亡くなり、全米で社会問題となりました)を扱った作品を2001年に上演しています。
 この『I Am My Own Wife(私が私自身の妻)』は『ララミー・プロジェクト』のモイセス・カウフマン演出により初演された作品です。


燐光群『I AM MY OWN WIFE』 
日程:2月6日(土)~16日(火)
会場:吉祥寺シアター 
料金:一般前売3,600円、ペア6,600円(前売・予約のみ)、当日4,000円、大学・専門学校生3,000円(学生券は前売・当日共通料金 劇団予約のみ 受付で要学生証提示)
作:ダグ・ライト 訳:常田景子 
演出:坂手洋二
出演:猪熊恒和、中山マリ、鴨川てんし、川中健次郎、樋尾麻衣子、杉山英之、伊勢谷能宣、松岡洋子、西川大輔、鈴木陽介、橋本浩明、桐畑理佳、矢部久美子、渡辺文香、横山展子、根兵さやか
問合せ:03-3426-6294 ticket-rinkogun@ee.alles.or.jp
主催:燐光群、(有)グッドフェローズ、(財)武蔵野文化事業団
平成21年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業)

劇作家 ダグ・ライトについて

 1995年、マルキ・ド・サドを描いた『クイルズ』でオビー賞を受賞。シナリオを担当した映画版は、ナショナル・ボード・オブ・レビュー最優秀作品に選ばれ(アカデミー賞3部門ノミネート)、他の映画脚本に『SAYURI』等があります。トニー賞とドラマ・デスク賞にノミネートされた『グレイ・ガーデンズ』、『リトル・マーメイド』といったブロードウェイ・ミュージカルも手がけています。現在、ニューヨーク・シアター・ワークショップとドラマティスト・ギルド・カウンシルの役員を務めています。
 2008年3月、坂手洋二と燐光群のコーディネートにより、日本で「演劇創作と環境整備 ニューヨーク・シアター・ワークショップとアーティストの試み」(主催:日本劇作家協会 /会場:芸能花伝舎)として、創作活動と芸術団体の関わりについて講座を行っています。
 日本ではあまり知られていませんが、オープンリー・ゲイの方です。


 日本版上演に寄せて、ダグ・ライトからこんなメッセージが届いています。

 私が1990年代のはじめにシャーロッテ・マールスドルフに会った時、彼女は、びっくりするような話をたくさん聞かせて楽しませてくれました。戦争で破壊されたヨーロッパで、ナチスの時代と共産主義の時代を、いかに「彼女」が公然とトランヴェスタイト(異性装者)として生きたかという話、しきたりにとらわ れない家庭で、既存の枠にはまらないセクシュアリティを持つことを励ましてくれたレズビアンのおばさんの保護を受けて育ったという話、東ドイツの秘密警察を何度も出し抜いたという話、そして、危険なまでに体制的な国家で、彼女が自分の生き方を貫くために払った恐ろしい代償のこと。
 2002年に彼女が亡くなった時、私は、深く感動的で道徳的にも教えられるところの多い彼女の物語が、彼女の死とともに消えてしまうことを恐れました。さいわい、この戯曲が、その物語が生き続ける助けになっています。シャーロッテは、生前ほとんど旅をしませんでした。故郷のドイツ国内と、晩年スウェーデンに行っただけでした。でも、『I Am My Own Wife』の登場人物として、シャーロッテは、これまでに、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、ブカレスト、ブエノスアイレス、シドニー、メキシコ・シティ、ダブリン、クラクフ、カラカス、その他多くの都市に姿を現したのです。
  私は、彼女が東京にも姿を現すことを、とてもうれしく思います。今回の公演は、彼女のアジアで初めての公演となります! 彼女の物語が、慣習にとらわれず、時には過激な作品さえも上演することで評価を得ている劇団、燐光群によって上演されることをとりわけ喜ばしく思います。これは、非常に名誉なことで す。
 シャーロッテは、常に好奇心を絶やさず、生まれつき優雅で、計算された神秘の感覚をそなえた人でしたから、東京を大好きになっただろうと思います。そして東京も、彼女の訪問を楽しんでくれることを願います。