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カンダー&エブのミュージカル『カーテンズ』日本初演

ミュージカルオタクの刑事が舞台も事件も解決していくコメディです

『キャバレー』『シカゴ』といった不朽の名作ミュージカルを生み出してきたゴールデン・コンビ、カンダー&エブ。彼らが最後に手がけたミュージカル『カーテンズ』の日本初演が2月6日から始まります。超なかよし2人組ゲイだったカンダー&エブの私生活のこともご紹介したいと思います。

『キャバレー』『シカゴ』といった不朽の名作ミュージカルを生み出してきたゴールデン・コンビ、カンダー&エブ。彼らが最後に手がけたミュージカル『カーテンズ』の日本初演が2月6日から始まります。超なかよし2人組ゲイだったカンダー&エブの私生活のこともご紹介したいと思います。


ブロードウェイで初演された時の『カーテンズ』

 

『カーテンズ』が待望の日本初演


イメージ(ブロードウェイ公演)
『キャバレー』『シカゴ』といった不朽の名作ミュージカルを世に送り出してきた作詞家フレッド・エブと作曲家ジョン・カンダー。カンダー&エブのゴールデン・コンビとして世界に名声を轟かせてきました。2004年にエブが他界したことにより、彼らが最後に手がけた作品『カーテンズ』がカンダー&エブの遺作となりました。

 劇場の舞台上で起きた殺人事件をめぐるミュージカル・コメディ『カーテンズ』は、2006年にブロードウェイで初演され、トニー賞では、最優秀ミュージカル作品賞をはじめ、脚本賞、オリジナル楽曲賞、主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞、演出賞、振付賞の実に8部門においてノミネートされ、主演を務めた天才喜劇俳優デビッド・ハイド・スピアーズが見事に最優秀主演男優賞を射止めました。
 そしていよいよ、待望の日本初演となる『カーテンズ』が、2月6日に幕を開けます。

 ブロードウェイ進出を目指した試演中の舞台で殺人事件が発生、捜査を進めるうちに明らかになる、悲喜こもごもの人間模様。主役は殺人事件の担当警部補ですが、実はミュージカルに目がないオタクで、捜査しながらリハーサルにあれこれ口出しを始め、ミュージカルが格段によくなってゆく、という展開です。

 朝日新聞の記事では「犯人捜しのミステリーのようでいて、実はショービジネス賛歌になっているあたりが巧妙」と評されています。
 いずれはブロードウェイ公演も観たいところですが、今回はストーリーや演出を楽しんでいただければと思います。

<ストーリー>
 1959年、ボストンのコロニアル劇場。舞台ではブロードウェイ進出に向けたミュージカル『ロビン・フッド』の初日公演(試演)が行われている。主役のジェシカは、プライドだけは一流だが、演技も歌もダンスもまるでダメな三流女優。そんな彼女がカーテンコール中に倒れ、病院に運ばれてしまう。翌日に出た舞台の批評は酷評ばかり。そんな中、追い討ちをかけるかのようにジェシカの死が告げられる。キャストたちはジェシカの死を悼む一方で、公演が中止になりニューヨークへ戻れると、何故か喜んでいる。
 そこへ現れたのは、超ミュージカルオタクなチョーフィ警部補(東山紀之)。検死の結果、彼女の死は他殺と判断され、調査をしにきたのである。『ロビン・フッド』関係者――プロデューサーのカルメン(鳳蘭)と夫でプロデューサーのシドニー(芋洗坂係長)、2人の娘で女優のバンビ(岡千絵)、作曲家のアーロン(鈴木綜馬)、作詞家のジョージア(マルシア)、仮面のロビンフッドを演じるボビー(大澄賢也)、ジェシカのアンダースタディ(稽古のための代役)である若手女優ニキ(大和悠河)など、関係者全員が容疑者となったため、チョーフィは外出を禁じて劇場を封鎖する。
 『ロビン・フッド』公演を成功させたいプロデューサーのカルメンは、ジェシカの代わりにジョージアを主演に立てることを決断し、新キャストでのリハーサルを始める。リハーサルが進んでいくと、チョーフィはミュージカルオタクの血が騒ぎ出し、その演出にまで、ついつい口を出し始めてしまう。そんな中、封鎖された劇場内で第2の殺人事件が発生! 容疑者は全員!?  犯人はいったい…


カーテンズ
日程:2月6日〜2月24日
会場:東京国際フォーラム・ホールC
料金:9500円~12000円
演出・振付:ビル・バーンズ
出演:東山紀之、大和悠河、マルシア、大澄賢也、鈴木綜馬、鳳蘭、芋洗坂係長ほか
※大阪、名古屋を巡演します。詳しくは公式サイトをご覧ください。

カンダー&エブの軌跡

 実は今年、すべて日本版ではありますが、『キャバレー』(公演終了)、『蜘蛛女のキス』(2月7日まで)、『カーテンズ』(2月6日から)、『シカゴ』(6月9日から)と、カンダー&エブの代表作がこぞって上演されます。
 日本でその作品がこれだけ頻繁に上演される作家は他にいないのでは?と思いますが、これはいかにカンダー&エブの作品が愛されているか(そしてヒットするか)ということの証明だと思います。

 ここで、史上最強のゲイのゴールデン・コンビ、カンダー&エブの軌跡を振り返ってみたいと思います。
 
 作曲家ジョン・カンダーは1927年カンサス生まれ、作詞家フレッド・エブは1935年ニューヨーク生まれ。1965年以来、共同で制作してきました。
 2人が初めてコラボレーションした曲は、後にバーバラ・ストライサンドによってレコーディングされた『My Coloring Book』と『I Don't Care Much」でした。2人の初めてのミュージカル作品となった『Golden Gate』は注目されずに終わりましたが、プロデューサーのハロルド・プリンスの目に留まり、ライザ・ミネリが鮮烈なデビューを飾った『Flora, The Red Menace(赤の脅威フローラ)』で作曲・作詞を務め、大ヒットしました。
 翌66年には『キャバレー』が初演され、ライザ・ミネリ主演で映画化もされ、不朽の名作として後世に語り継がれることになりました。トニー賞をはじめ、多くの音楽賞を受賞しています。
 そして、1975年に手がけた『CHICAGO』は、当時ヒットには至りませんでしたが、96年にリバイバル上演されて以来、ロングランを記録しています。映画化もされ、昨年はブロードウェイ版が来日公演を行ったのも記憶に新しいところです。
 1977年、マーティン・スコセッシ監督のミュージカル映画『New York, New York』の音楽を手掛け、フランク・シナトラが歌ったタイトル曲は、映画のテーマ曲であると同時に、ニューヨークのテーマ曲ともなりました。同年、カンダーとエブは第21回ケネディー・センター名誉賞を授与されました。
 ほかにも『ハッピー・タイム』(68)、『その男ゾルバ』(68)、『セブンティ・ガールズ・セブンティ』(71)、『ジ・アクト』(77)、『ミズ』(81)、『ザ・リンク』(84)、『蜘蛛女のキス』(90/92)、『ワールド・ゴーズ・ラウンド』(91)、『スティール・ピア』(97)など、ヒット・ミュージカルを連発してきました。
 フレッド・エブは、2004年11月に心臓発作で亡くなりました。エブの他界から3日後、彼の残した功績に敬意を表し、劇場街の広告塔が1分間消されたといいます。エブが最後に手がけていたのが『カーテンズ』でした。カンダーは新しい作詞家ルパート・ホームズを迎えてこれを完成させ、2006年7月にロサンゼルスで初演されました。
 2007年には2人の功績を讃え、ドラマ・デスク大賞が贈られました。

 ゲイの偉人について書き記した「Gay for Today」によると、その作品の「多形倒錯性」にも関わらず、カンダー&エブは、歌に彼ら自身のことを語らせることを好み、自身のセクシュアリティに関してはずっと口をつぐんできました。が、2003年、カンダー(以前は振付師で教師でもある男性と26年間住んできました)は、エブとの噂を認める形で、インタビュアーに対して「創作に関しては40年間のパートナーだったが、家庭においてはつい最近の、ロマンスもへったくれもないパートナーだよ」と語りました。
 つまり、カンダー&エブは、2人ともゲイで、仕事上のつきあいを40年も仲よく続けてきて、そのうえアラセブ(70前後)になってパートナーになったというのです。そんなことってあるんですね! ロマンスもへったくれも、と言いますが、最高にロマンチックな話じゃないでしょうか。素敵です。