『ハートをつなごう』は世の中でマイノリティと言われる人たち(障害を持つ方、シングルマザー、性同一性障害の方など)の声を掬い上げて、もっと生き生きと暮らせる社会を作っていこうとメッセージする番組です。4月に初めてゲイ&レズビアンが特集され、全国から400通ものメールが届きました。それをもとに今回、第2弾の放送が決定したのです。9月15日(祝)、その収録現場におじゃまし、取材をしてきました。どんな番組なのか、さわりをお伝えしたいと思います。(後藤純一)

収録の合間のひととき。出演者のみなさん、和気あいあいとお話していてとてもいい雰囲気でした。ポップでドリーミーなセットもステキです。
9月15日(祝)、渋谷のNHK放送センターのスタジオにおじゃまし、取材をしてきました。テレビカメラが4台、うち1台はクレーンつきという立派な設備で、なぜかトナカイがキラキラしたモールを首に下げてたり、豚や海ガメやラクダが楽しそうに「共存」するステキなセットでした(アートディレクター伊藤桂司さんの作品だそうです)
司会はCMでもおなじみの人気作家・石田衣良さんとソニンさん、NHKアナウンサーの桜井洋子さん、そしてコメンテーターは前大阪府議の尾辻かな子さん、「僕の彼氏はどこにいる」の著者・石川大我さん、ゲイの精神科医の平田俊明さん(AGP等で活躍)、関西レインボーパレードの代表を務めた岡亜沙美さんでした。
民放とかだとカメラが回ってる時と回ってない時とでまるで出演者の顔が違っていたりしそうですが、そういうことが全くなく、収録が始まる前からみんなが和気あいあいとお話する雰囲気の良さが印象的で、そのままの流れでごく自然に収録がスタートしました。
最初に4月に放送されたゲイ・レズビアン特集第1弾のおさらいをして、今回取材した方のビデオを観ることに。宝石店から出て来た女性二人。今度結婚式を挙げるということで、指輪を作ったのだそうです。凌さんと美月さんというレズビアンカップルでした。なかなか周囲に理解されず、「私は孤独に死んでいく運命なんだ」と思っていた美月さんにとって凌さんとの出会いは「奇蹟」だったという言葉が胸に沁みました。この回は、このお二人をめぐるお話でした。昨年NLGRで式を挙げてテレビ放送された尾辻さんは「私たちはなかなか祝福してもらうことがない。けど、同性愛のことはよくわからない人も、結婚式を挙げると言うと、おめでとう!と素直に言ってくれたりして、うれしかったです」と語り、石田衣良さんは「同性婚が認められているかどうかはその国の政治の度合を測るバロメーター。現実にこれだけ求めている人たちがいるのに法律が追い付いていないんですね」と語ってくれました。
休憩のあと、2日目の収録が行われました。(1回で2日分収録されるのです)
この回のドキュメンタリービデオは、ある小さな離島に住む中村崇士くんというゲイの方が主役でした。高校時代、先生に告白して学校中に同性愛者だとバレてしまい、保健室の先生すら応援してくれず孤立無援状態の中で「誰かに抱き起こしてもらえるかと思い」学校で自殺未遂を図ったという、実に苦しい経験をした方です。そんな彼は、生きやすい都会でのゲイライフを選択せず、あえて人口数千人の島で「数千人になら直接会ったりして理解してもらえる」と、周りに少しずつカミングアウトしていこうと決め、しかも教育関係の仕事に就いたのです。本当にけなげで、思わず涙がこぼれるお話でした。彼がそこまで前向きにがんばれるようになったきっかけは、ちょっと意外で素敵なお話でした。ぜひ、放送を観てみてください。

収録後の記念撮影。前列右から美月さん(事情によりお顔をぼかしています)、凌さん、中村くん。今回の主役の方たちです。
正直、一度入るとなかなか出入りもできず、静かにじっとしていなければいけない、(ライトに当たっている出演者の体感温度を考慮して)クーラーをガンガンにかけてある寒いスタジオに4時間も拘束されるのはけっこうハードだな…と思ってました。が、ひとたび収録が始まると、その内容の素晴らしさに釘付けとなり、あっという間に感じました。
特に、都会でのゲイリブではなく、あえてゲイへの風当たりが強い田舎の村で地道にカミングアウトして地域の人たちと仲良くやっていこうとする中村くんの登場は本当に新鮮で、これからの時代を象徴するようなこと、スゴイことだと思いました。彼の表情がまたイイ。素朴な好青年で、笑顔がとても魅力的で、みんな彼のことを好きになるだろうなあと思わせるものがありました。きっとこの放送を観て、大勢の方が彼のファンになるでしょう。地方で暮らしている方たちや子どもたちにも、多大な勇気を与えることと思います。ゲイシーンのニューヒーロー誕生!と言っても過言ではないでしょう。
たぶん、この中村くんを取材したビデオ作品は、内外のドキュメンタリー映画祭やテレビ番組コンテスト等でも賞をいただけるような…「全米が泣く」どころか世界中が喝采で迎えてくれる、そんな名作じゃないかと思います。
本番を楽しみにしてください。
石田衣良さんが語っていました。「NHKは変わりつつあります。そして日本も変わっていくのです」。今、時代が確実に前へ進もうとしています。
どうぞ、感動とともにその様子を見届けてください。
NHK教育「ハートをつなごう」
ゲイ/レズビアン第2弾
教育テレビ 9月29日(月)、30日(火) 午後8時~8時29分
再放送 10月6日(月)、7日(火) 午後1時20分~1時49分
LGBT第1弾
教育テレビ 10月1日(水)、2日(木) 午後8時~8時29分
再放送 10月8日(水)、9日(木) 午後1時20分~1時49分
(こちらはゲイやレズビアン、トランスジェンダーの若者たちが登場する予定だそうです)
NHK福祉ポータル「ハートネット」
ゲイ/レズビアン特集第1弾が放映された後、5月17日に全国5か所で行われた「IDAHO=International Day Against Homophobia」をレポートした素晴らしいビデオドキュメンタリーをアップしてくれています。ぜひ観てください。
また、この「ハートネット」では今後、LGBTのための特設ページが設けられる予定だそうです!
みなさんから届けられたお便り(メール)がこの番組の原動力ですので、番組の感想やゲイとしてイイタイコトなど、どしどしお寄せください。
※この番組のディレクターとプロデューサーの方にインタビューをさせていただきました。こちらをご覧ください。