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『クーリエ・ジャポン』
2009年6月号
講談社/780円(税込) 『COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン) 』2009年6月号に、スペイン在住アメリカ人ゲイカップルと養女(娘さん)との生活を素敵な写真で綴った8ページにもわたるポートフォリオ記事が掲載されていました。
『クーリエ・ジャポン』はフランスの『クーリエ・アンテルナショナル』と提携し、海外メディアの記事を厳選して日本人向けに供給する雑誌です。独自の視点で世界の動きや「世界は日本をどう見ているのか」を伝えてくれます。
よくある海外の雑誌の日本版(そのまま日本語に訳したもの)とは異なり、星の数ほどある海外の記事の中からどれをピックアップするかは、『クーリエ・ジャポン』編集部が独自に行っているそうです。したがって今回、この「養子を育てるゲイカップル」を取り上げてくれたのは、日本のスタッフということになります(拍手を贈りたいです!)
それでは、内容を簡単に紹介してみましょう。
詳しくお読みになりたい方はぜひ書店でお求めください。
PORTFOLIO「パパとダディと一人娘」
娘と両親の何気ない日常を撮った写真。たった一つ変わっているのは、女の子には父親が二人いること。ワールド・プレス・フォト2009で受賞した「幸福な家族」の肖像。
Photographs by Mttia Insolera Text by Luca Trancredi Barone
(元記事は、イタリアの週刊誌『D(レプブリカ・デレ・ドンネ)』)
ウィル・シャンクさん(57)とU・B・モーガンさん(45)、スタッサちゃん(5歳)は一家でスペインのバルセロナに住んでいます。
ウィルさんは1999年までサンフランシスコの現代美術館で働いていました。パートナーのU・Bさんもアーティストだそうです。
彼らとともに暮らすのは犬のフリーダと、彼らにとってかけがえのない存在である5歳の娘スタッサ(アナスタシア)。スタッサは、生まれて間もなくカリフォルニア州で合法的に彼らの養子になりました。
「皮肉なことにウィルとU・Bにとって、結婚することのほうが、娘を養子に取ることよりもずっと難しかった」といいます。二人が数年前まで暮らしていたカリフォルニア州では、事実婚のカップルが養子を取ることは、その両親の性別にかかわらず認められています。そればかりか、息子、もしくは娘を養子に出そうと考える母親は、その子が誕生する前であっても、誰を養父母にするか選ぶこともできるんだそうです。
「スタッサを生んだ女性は、私たちを選びました。私たちは何度か彼女に会って、気に入られました。自分の娘に、開放的で刺激的な環境を希望していたので、私たちがアーティストでゲイだというのが、素晴らしい条件に思えたようです」とU・Bさん。母親とは年に一度、手紙のやりとりをしているそうです。「スタッサが彼女に会いたくなり、私たちが彼女にその準備ができていると判断すれば、いつでも会わせるつもりです。別に心配はしていません」

右上のネクタイを締めている写真(結婚式の朝の1コマ)がワールド・プレス・フォト2009で受賞したそうです
ウィルさんとU・Bさんが知り合ったのは1997年、カリフォルニア郊外の港。ひとめぼれだったそうです。翌年には一緒に暮らすことにして、2003年、二人は「自分たちが幸福で、養子を取る心の準備ができていると感じたのです」。その女の子は、小さいときからとても元気がよく、世界中の親たちと同じように、「あふれんばかりの喜び」がやってきました。もちろん、苦労もありましたが、「思ってもみなかったほどの忍耐力が自分に備わっていることがわかりました」
スタッサちゃんは一歩進むごとに立ち止まって、ありとあらゆることを知りたがるので、バルセロナ随一の繁華街ランブラス通りを200m進むのに30分もかかるそうです。
こんなふうに幸せな家庭生活を送っている彼らも、結婚するまでの道のりは険しいものだったそうです。二人は、誰もが望むように、自分たちの愛に結婚式という形を与え、親しい人たちを集めて、自分たちがどれほど幸せで、どれほど愛し合っているかを伝えたいと思っていました。
そのチャンスは、2004年2月12日にやってきました。サンフランシスコのギャヴィン・ニューソム市長がゲイカップルの結婚を許可したのです。3月11日までに4000組近いゲイカップルが、アメリカ中からやってきました。その中に、彼らもいました。このチャンスを逃すわけにはいかない、と、2月13日に、他の数百人といっしょに行列に並びました。 しかし、8月12日にすべてがひっくり返されました。カリフォルニア州最高裁判所が「市長には州の法律を忌避する権限はない」という決定を下し、あっさりと婚姻は「無効」にされてしまったのです。
その3か月後にブッシュが大統領に再選されます。二人は「もうたくさんだ」と、米国を出て行くことにしたのです。

ちょうどウィルさんが壁画の保存法に関する研究で賞を獲得し、3人は6ヶ月間、ローマに住むことができるようになりました。ウィルさんはもともと、イタリアのフレスコ画の修復をやりたかったのです。ローマでは「これといった差別的な目にはあいませんでした」が、同性婚は認められていません。一家は、本当に自分たちを受け入れてくれる国を探し求めて、スペインのバルセロナにたどりつきました。
スタッサちゃんは通っている学校で「ママはどこにいるの?」と聞かれたそうです。U・Bさんは「スタッサにはパパが二人いるんだ、それがどんなにラッキーなことか、わかるだろう?」と答えたそうです。「スタッサは自分がもらわれてきた子で、僕たちのお腹から出てきたわけではないと知っています。スタッサにとって、僕たちはパパとダディなんです」
二人は昨年、親しい友人たちを招いて披露宴を行いました。出されたケーキには二人の花婿が飾られていました。
ウィルさんは自分たちが「ノーマル」な家族だと思っています。「人々の好奇心にうんざりすることもあります。でも、数週間前、あるテレビ番組に出演したあと、街中で一人の青年が娘に優しい声をかけてくれて、『番組を観て、ボーイフレンドといつかこういう家庭を築きたいね、と話してたんです』と語ってくれました。自分たちも親にだってなれるし、他の親と同じ幸せを味わえるんだと思ってもらえればうれしいです」

パートナーとの絆、愛する娘との絆、家族で幸せに生きることを何よりも大切に考え、最良の環境を求めてバルセロナに移り住んだウィルさんとU・Bさん。スタッサちゃんもちゃんとわかっていて、パパ&ダディと元気に暮らしています。周りの人たちも祝福してくれて、本当に幸せそうな様子が伝わってきますよね。
海外では同性婚だけでなく養子を育てる権利も認められつつあると、話には聞いたことがあると思いますが、こうして写真で見せられると、すごくイメージが伝わります。本当に価値ある記事だと思います。
日本では同性婚や同性パートナー法を求める声は上がってきていますが、養子の権利についてはまだそれほどでもないと思います。「僕らには子どもができないから…」とあきらめてしまわず、ウィルさんたちのように子育てという幸せを得られる(男女の夫婦とまったく同じように暮らせる)日が来ることを夢見てもよいのではないでしょうか?