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ゲイマーケットのスゴさがわかる決定版『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』

日本の企業の間でも注目されはじめているゲイマーケット(ピンクマネー)。それがどういうことか?を如実に示してくれる新書が今年の3月に発売され、話題となっています。

たとえ経済に疎いとしても「ゲイはこんなにお金を使ってる=内需拡大に貢献してる」「日本がもっとゲイにやさしくなれば景気も回復する」ってことを胸を張って言えたほうがカッコいいですよね? そのためにもぜひ読んでおきたい一冊です。

 ゲイマネーとかピンクマネー、あるいはゲイマーケットという言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。
 ゲイ男性たちは子どもを作ることができない(養子を育てる権利も与えられていない)ため、可処分所得が高く、妻子を養わなければならないノンケ男性たちと異なり、消費活動が活発です。ファッション、フィットネス、映画や演劇、音楽、アート、料理やインテリアなどに対するゲイのお金の使い方はハンパなく多いため、ゲイマーケットが経済的に重要な位置づけで認識されてきたのです。
 その如実で顕著な例が、この『ゲイ・マネーが英国経済を変える?』で示され、世間的にも注目を集めています。
 簡単にその内容をご紹介しましょう。
 
 まず、英国のゲイ人口は360万人。人口の6%を占めます(政府の調査機関による報告)。仕事を持った社会人だけでも300万人がゲイ(バイセクシュアル含む)と申告しました。
 実は世界で最も物価の高い国になった英国の経済発展を支え、国内消費者ヒエラルキーのトップに君臨しているのがゲイであると宣言されます。
 英国国営放送「BBC」の経済局は、ゲイ市場を350億ポンド=9兆円規模と試算しているそうです(1998年)。2006年現在、ピンクマネーは年間700億ポンド=18兆円を超えました(マーケティングコンサルタント「OutNow」による試算)
 以下、英国のゲイをマーケティング的に捉えたときの特長を示します。
・収入が高い(英国人の平均が2.5万ポンド足らずであるのに比べ、ゲイは3.4万ポンド以上)
・消費する金額も多い(カードの使用が月平均で924ポンドで平均より150ポンドも多い。服飾費が19億ポンドを占める。旅行が3億ポンド。そのほか舞台やオペラのチケット代、美術展、DVDやCD、本、アルコール消費、外食費、ジムの年会費、香水など)
・学歴が高い(学位取得率は42%で平均より25%高い)
・旅行やパーティといった楽しみへ惜しみなく費やす
・気に入ったブランドのリピーターとなる
 以下は一般企業がいかにゲイをターゲットとしたマーケティング戦略を打ち出してきたかというお話です。
・家具販売のIKEAが一貫してゲイフレンドリーな姿勢を打ち出すことで成功しているのは有名な話です。CMで男性の二人連れがいっしょに家具を選ぶ風景を使用し、ゲイをメインターゲットにしています。ゲイは一般人よりセンスがいいというイメージも手伝って、一般の購読者層にも好印象を与えました。
・高級百貨店セルフリッジ(日本で言う伊勢丹のようなデパート)は男性下着の売り上げを2004年度比で42%も売り上げを伸ばしました。「Hung」「Ginch Gonchi」など新規のブランドでゲイ向けにキャンペーンを張ったためです(下着姿のモデルがウォーキングしたり、接客したりということをやったそうです)
・ヒルトンホテルは同性婚が認められる以前からゲイのための結婚式や披露宴のサービスを始めていました。
・そのほかにもフォード、ロイズ、ヴァージン、英国航空、ロレアル、トワイニング、アップル、アメリカンエキスプレス、P&G、JPモルガン・チェースなど、ゲイに向けて積極的なアピール、支援を行う企業は多いのです。

 著者の入江敦彦さんは京都市生まれのエッセイスト。英国に滞在中で、パートナーとシビルユニオン(準同性婚)を結んでいるそうです。本当にいい本を書いてくれました。
 この本に対し、読売新聞では「もしイギリスで、『日本はゲイを差別しないらしい』という情報が広まって、ゲイの旅行者が大勢観光に来たら、いったいどれだけの経済効果があるだろう。それを考えただけでも、いわれなき差別と偏見を持ちつづけることがいかに不利益か、明白ではないかと個人的には思う」という書評が載りました(作家の三浦しをんさん)。
 2007年2月28日の日経ビジネスオンラインで「巨大市場「LGBT」とは~年間6兆6000億円、同性愛者の国内市場」という記事が掲載され、4月16日号の『日経ビジネス』誌では「LGBT~眠れる市場を掘り起こせ」という特集が組まれました。日本でもゲイマーケットへの注目が集まり始めたのです。これを一過性のブームに終わらせず、企業とゲイコミュニティの幸福な接点を見つけ出していく活動が重要なのだと思います。


『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』
入江敦彦/洋泉社/780円+税