5月17日はIDAHO(International Day Against HOmophobia=国際反ホモフォビアデー)でした。1990年、世界保健機構(WHO)の精神疾患リストから同性愛が削除された日を記念して制定されたものです。
世界の動きや、日本での「やっぱ愛ダホ!」のイベントについてお伝えしたいと思います。
GAY JAPAN NEWSによると、世界には、同性愛を違法とする国がまだ86ヶ国もあります(2008年、ILGA調べ)。イランのように同性愛者が死刑になる国もあります。違法としていなくても、モスクワのようにパレードが公権力や宗教原理主義派の市民によって妨害されたり、LGBTが恣意的拘束や殺害(ヘイトクライム=憎悪犯罪)の標的になったり、政治的・社会的・宗教的指導者による暴力的な発言の対象となるような、ホモフォビア(同性愛嫌悪)やトランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)が明確に表現されている国もあります。
AFPによると、5月17日、世界各地、約50カ国以上でパレードなどのキャンペーンが行なわれました。

ロシアのサンクトペテルブルクでも、同様にパレードが行なわれました。モスクワでは市当局によって暴力的にパレードが中止に追い込まれましたが、サンクトペテルブルクでは無事に開催できたようです。

キューバの首都ハバナで行なわれたパレード。同性婚の実現を訴えるようなメッセージです。
このIDAHO 2009を主催したカナダの団体は、各国のゲイやレズビアンからビデオメッセージを募り、世界中の当事者たちを勇気づけようと考えました。その呼びかけに応え、「One Voice, One Message, Heard Around the World.」というビデオ作品が完成しました。中国や韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、そして日本からも「私はゲイであることを誇りに思います」「レズビアンであることを誇りに思います」と笑顔で語るメッセージが届けられています。中には、死と隣り合わせの状況であるイラクの人もいました。顔にモザイクがかかってはいますが、ものすごい勇気を出して送ってくれたことに拍手を贈りたいと思いました。
このビデオが素晴らしいのは、反ホモフォビアという、IDAHOが持つ抗議運動的なイメージを覆し、世界中でたくさんのゲイやレズビアンが誇りを持って生きているというメッセージ(前向きなゲイプライドの表現)を伝えているところです。
もう1つ、意外と世界中のLGBTがつながる機会は少ないのですが(4年に1回のゲイゲームズくらいでしょうか)、このビデオは、インターネットの特性をうまく活かし、見事に「世界は1つ」を表現するものになっていると思います。
IDAHOに限らず、このビデオ作品がいろんなところで繰り返し見られ、孤立しがちな当事者たちを勇気づけることにつながれば、と願うものです。
日本のIDAHOについてお伝えしましょう。
まず、5月15日付読売新聞23面(くらし面)に「性的少数派に理解を 学生ら各地で街頭活動」という見出しで写真付き5段扱いでIDAHOのことが詳しく紹介されていたそうです。
5月16日付読売新聞福岡版には「心の性と体の性不一致同性愛多様な“性”知って」という見出しで、福岡での街頭イベントを行うトランスジェンダーの石崎成蒔さんへのインタビュー記事が掲載されていました。
どちらかというと性に関して保守的な考えの方たちが購読層であると考えられる読売新聞でこうした記事が載ることはとても意味があることです。
IDAHOは昨年、NHK『ハートをつなごう』にも取り上げられ、少ない人数での運営ながら、メディア露出としてはものすごい効果を生んでいます。そういう意味で、全国各地のパレード開催と並び、とても重要なプライドイベント(LGBTの素顔や生の声が伝わる)なのです。
そして、今年は昨年の新宿、大阪、神戸、名古屋、福岡だけでなく、札幌、仙台、千葉、浜松、甲子園、愛媛など、開催地が飛躍的に増え、全国10カ所以上で街頭アクションや講演会、ミーティングなどが行われました。
地方でゲイやレズビアンが顔出しで街頭アクションを行なうのは本当に勇気が要ることだと思います。運営に携わった方たちの心意気に拍手を贈ります!
残念ながら同じ日に全国各地の取材はできませんが、新宿でのIDAHOの様子をレポートしたいと思います。
5月17日夕方の新宿駅南口「flags」前では、約30人もの人たちがレインボーフラッグを掲げたり、「多様な性にYES!!」「みんな違ってみんなイイ」「同性婚の実現を」といったプラカードを持ったり、道行く人にIDAHOのフライヤーを配ったり、全国のたくさんの方たちから集まったメッセージを読み上げたり(涙ぐむ場面もあったり)、でした。
主にIDAHO-NETの若い方たちが中心だったのですが、尾辻かな子さんの選挙を熱心に応援してくれていたレズビアンの方たちや、石坂わたるさんとその支持者の方たち、ストレートであるにも関わらず参加してくれた方やそのお父さん(!)、飛び入りで参加してくれた方などもいました。
全国から寄せられたメッセージも、「親に言えず、苦しい」「こうやって街頭アピールしなくてもいい時代が来ることを望む」といった、つらさを訴えるものだけでなく、「レズビアンです。幸せに生きています」「ゲイであることに誇りを持っています」といった前向きなメッセージも多く、両方あるからこその感動がありました。
直接アクションに参加はしてなくても、周りでずっと見守っている方や、足を止めて耳を傾ける方も多く、また、ちょっと離れたところで聞いていて、終わった後に「ありがとうございました、勇気が出ました」と言って帰って行く方もいました。
全体として、さわやかに前向きに、当事者の方もノンケさんたちもいっしょに巻き込めるような雰囲気で、「One Voice, One Message, Heard Around the World.」に連なるような、ゲイプライドを肯定的に伝えるイベントでした。
確かな運動の広がりを感じさせる、いい日曜日でした。
NHKの『ハートをつなごう』も取材に来ていましたし(プロデューサーの方自らビデオカメラを回してくれていました)、ワシントンポストも取材していました。きっとそのうち報道されることと思います。
また、中野で行なわれたシンポジウム「社会の中で、つながるということ」に関して『レイバーネット』に壱花花さんのレポート記事が載っていましたので、読んでみてください。
たとえば12月1日が世界エイズデーとして世界中でイベントが行なわれる(日本でもAAAなどの大規模なイベントが行なわれる)ように、5月17日の国際反ホモフォビアデーも「ゲイプライドの日」的な位置づけで、世界中で起こるムーブメントの中に僕らも参加でき、世間にももっと浸透していくようになるとステキじゃないでしょうか? 今年のIDAHOはそういう可能性を感じさせました。
やっぱ愛ダホ!公式サイト
http://yappaidaho.blog.shinobi.jp/
メッセージの全文
http://idahofukuoka.web.fc2.com/message/message.html