毎年5000〜6000人とも言われる人たちで盛り上がる、日本最大級のゲイコミュニティのお祭り「東京レインボー祭り」。去年は警察の許可がなかなか下りず、様々な制約の下に無事開催されました。今年はいったいどうなるんだろう?と気になっていた方も多いハズ。二丁目振興会会長の福島さんにお話を聞きながら、お伝えしたいと思います。(写真はすべて、去年のレインボー祭りの様子です)
数百軒のゲイバーが集まると言われ、世界有数のゲイタウンとなっている新宿二丁目。2000年にパレードが復活したことを機に、アキ企画社長の川口昭美さんが主だったゲイバーに呼びかけ、後夜祭として仲通りを歩行者天国として開放する「東京レインボー祭り」を開催しました。2000年8月27日、渋谷の街を数千人の人たちがパレードし、その夜には、お店の人たちが縁日のように屋台を出し、様々なパフォーマンスが行われ、祭りがフィナーレを迎えると、なんと、二丁目の夜空に花火が上がりました。誰も予想していなかったこの感動的なプレゼントに、仲通りにいるゲイたちは泣きながら抱き合い、新しい時代の訪れを実感したのでした。この記念すべき日は「日本のストーンウォール」とも言われ、伏見憲明さんは『バディ』誌に「コミュニティの誕生」という記事を寄せ、その意義をアツく語りました。また、ポット出版が『パレード』という本を発行し、パレードとレインボー祭りの詳細を記録しました。
レインボー祭り後、集まったゲイバーの方たちで新宿二丁目振興会という商店会組織が誕生し、行政の助成も受けながら、このお祭りを継続的に開催していくことが決定しました。新宿二丁目のゲイバーは、もはや「日陰者のたまり場」でも「禁断の花園」でもなく、世間からも認められる街となったのです。
2002年5月、川口昭美さんが急逝し(葬儀には何百人ものゲイたちが駆けつけ、朝日新聞東京版に「二丁目のゴッドマザー、逝く」という特大記事が掲載されました)、前年にパレードの実行委員長をつとめた福島光生さん(バー『メゾフォルテ』マスター、ライター)が振興会会長を引き継ぐことになりました。
2003年~2004年、東京レズビアン&ゲイパレードがお休みしましたが、レインボー祭りはすでに毎年恒例の二丁目の夏祭りとして定着していましたから、例年通り開催され、大いに盛り上がりました(その時のレポートはこちら)。東京だけでなく地方から来る方たちもいて、5000人とも6000人とも言われる人たちがいっしょに、ビールを飲み、神輿やエイサーや様々なパフォーマンスに酔いしれ、フィナーレの花火とともに涙を流し、「ゲイに生まれてよかった」という思いを新たにしました。
2006年、それまでフィナーレを飾ってきた花火が、近隣住民の苦情により、できなくなりました。また、2008年、警察署の指導が入り、それまでのように路上に屋台を出し、ステージを組んでパフォーマンスをするということができなくなりました…。しかし、二丁目振興会のみなさんは負けずにできる範囲でお祭りを見事に成功させました。その汗と涙に心から拍手を贈りたい気持ちです。(昨年の様子はこちら)
そして、今年もレインボー祭りは開催されます。しかも、記念すべき10回目を迎えます。
二丁目振興会会長の福島さんに、今年のレインボー祭りについて、お話をお聞きしました。

インタビューに優しく答えてくださった
福島光生さん(「メゾフォルテ」にて)レインボー祭りの真実〜お祭りを厳しくしているものは何か?
ーー今年のレインボー祭りは8月30日(日)開催とお聞きしました。去年まではパレードに合わせてお盆の開催でしたが、今年はパレードがないので、最初の頃のレインボー祭りと同様、8月最終週に開催するということでしょうか?
福島:そうですね。最初は8月の最後にやっていて、夏の終わりをいっしょに楽しもうという感じでした。パレードの方が会場の関係でお盆になって、レインボー祭りもそれに日程を合わせていたのですが、今年はパレードがないので、じゃあ30日にしようかということになりました。
ーー去年は、秋葉原の事件の影響で、警察の方から指導が入りましたよね。人が大勢集まって身動きが取れない状態のイベントは危険だと。それで、人の流れがストップするようなステージ・パフォーマンスなどが禁止されることになりました。今年もそういう形で開催することになりそうですか?
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レインボー祭りでごあいさつする福島さん福島:去年のレインボー祭りは、警察の方からはとても高い評価を受けました。問題なし、よくできました、と。
そもそもの話をすると、レインボー祭りが開催されるたびに、一部の二丁目の住民の方から、ずっと警察署に苦情の電話がいっていたんです。音がうるさいとか、自分の住んでいるマンションの下が汚れるとか、花火の破片が飛んで来たとか…。
ーーもともとの二丁目住民の方たちの商店会にも話を通して良好な関係を保っているんですよね?
福島:そうなんです。商店会の方は「二丁目の活性化につながるから、もっとやったらいい」と言ってくださっています。でも、本当に一部の人が、かなり激しく抗議しているそうで…。でも、よくよく話を聞いてみると、昔から二丁目で商店を構えている人にとっては、毎朝お店の前に吐瀉物や立ち小便の後があり、365日それを片付けなければいけないうえに、さらにそんなお祭り騒ぎをやられてはたまらない、という気持ちがあるようです。花火の破片が飛んで来て危ない、どうしてくれるんだ、と苦情を言ってきたのもその方で、結局、花火もあきらめざるをえなくなりました。
ーーなるほど…ちょっと耳が痛い話ですね。二丁目は世界有数のゲイタウンと言われている歓楽街ですが、だからと言って僕らが好き勝手に遊んで街を汚していいわけじゃないですよね…昔から住んでる方たちとも折り合いをつけていかないと。「Living Together」です。
福島:レインボー祭りがあるたびにそういう人が何時間も電話で苦情を訴えるものだから、警察の方も本当に困っていたそうです。それで、2007年に交通課長の方が視察に来たんです。そうしたら、ものすごい人出で身動きが取れないほどの混雑だし、しかも祭りが終わってからも仲通りにずっと残っていて、なかなか車が通れるようにならない。それをとても怒って「2008年はやらせない」と言われたんです。
ーー秋葉原事件よりも前に、警察の方から指導を受けていたわけですね。
福島:そうなんです。2008年は本気で「開催を許可しない」と言われて、交渉を重ねた結果、ステージもなく、音も出さず、道に屋台を出さず、という条件でやっと許可が下りたんです。そのことによって、出演予定だったパフォーマーの方たちにも迷惑をかけたし、楽しみにして来てくれたお客さんたちもがっかりさせてしまったし、振興会のお店のみなさんにも思うように屋台で売ることができない不便をかけてしまいました。とても悔いが残りました。
それで、今年はどうするのか、悔いが残るような形で開催するくらいなら、一度休んで、ほとぼりをさまして、また来年に向けて充電するという道もあるのではないか?と思い、この4月に振興会加盟店に相談したんです。「レインボー祭りを開催するかどうか迷っています」と。
ーー10周年に向けてやる気に燃えているのかと思いきや、開催すら躊躇してたんですね。そこまでつらい思いをしてたなんて知りませんでした…。
福島:そのヒアリング調査の結果、「ぜひ今年もやってほしい」と、しかも「元のような規模でやってほしい」という声が多数でした。その声をもとに、理事会で話し合いました。僕もやる以上は二丁目振興会のパワーを見せつけるようなお祭りにしたいけど、様々な規制があることは事実で、今年も前のようなハデなことはできない、加盟店からは「やってほしい」という声が上がっている。どうするか? 話し合いの結果、今の振興会の身の丈に合った形で開催しよう、警察や住民の方ともいい関係を築いていけたら、また元のようにパワフルなお祭りができるかもしれない、という結論になりました。その代わり、一部の人だけが頑張るお祭りではなく、もっとそれぞれのお店が協力しあっていこうということで、僕が今までやっていたことも、いろんなお店で分担してやるという形になったんです。そうして、今年もレインボー祭りを開催することが決定しました。
ーーいろいろ規制があって大変な中で、それでもやろうと決めた振興会の方々の心意気に感謝したいと思います。
どうなる? 2009年のレインボー祭り
ーーでは、今年のレインボー祭りもだいたい去年と同様な感じになりそうですか?
福島:御神輿があって、エイサーやブラスMIXの路上パフォーマンスもあります。屋台の方は、去年「九州男」さんのビルの屋上で焼きそばを焼いてエレベーターでピストン輸送するという形だったりしたのですが、今年はもう少しふつうに路上で買えるようにしたいと思っています。おなじみのビール、缶チューハイ、焼きそば、フランクフルトだけでなく、冷やしパインなども出る予定です。
それと、今二丁目のお店でスタンプラリーをやっているのですが、その福引き抽選会をレインボー祭り当日に行います。地方から来られた方なども、当日ブースで買ってスタンプを集めていただければ抽選権がもらえますので、ぜひ参加してみてください。
ーー福引きは新しいですね! 毎年恒例のエイサーや御神輿などもお祭り気分が盛り上がり、本当に素晴らしいです。
福島:決まった枠内でできることを工夫しながら、来られた方に楽しんでいただきたいと思います。
ーービルの上からトークを行ったりというアトラクションも?
福島:そうですね。今年は「Base」のToshiさんがレインボー祭りの実行委員長をつとめているので、オープニングのあいさつも彼がやってくれます。あと、商店会の方などもあいさつしてくれると思います。
ーーゲイだけでなく、地域の方たちともいっしょに、というスタンスが見えやすくなっていいですね。今後のことなのですが、来年以降、またレインボー祭りを元のような規模で開催できるようになる展望はあるのでしょうか?
福島:四谷警察がまた大規模なお祭りを許可してくれるために、新宿区や東京都、あるいは厚生労働省などの後援(バックアップ)を取り付けるという方向性があります。新宿区に対しては、レインボー祭りが新宿の観光資源であり、多くの人を呼べるイベントであることを、厚労省に対してはHIV予防啓発活動の場であることをアピールしたいと思っています。来年はパレードもありますから、その後夜祭という位置づけでも後援をいただけるのでは?とも考えています。そのためにも、今年は警察署の指導に従って、問題なくお祭りを成功させたいと思っています。
ーーわかりました。来年の夏はまたパレードがありますから、期待したいところです。最後にメッセージをひとこと、お願いいたします。
福島:夏の終わりをみなさんといっしょに楽しめるように考えています。ぜひ二丁目にいらしてください。
ーーありがとうございました! 今年も二丁目のお祭りを心ゆくまで楽しみたいと思います!

第10回東京レインボー祭り
8月30日(日)16時~19時
@新宿二丁目仲通り
※詳しい情報は8月上旬に発行される「新宿2丁目瓦版」に掲載されるそうですのでぜひご覧ください!