scene - シーン : ゲイシーンの素敵ないろいろをレポート

Top » Scene » 藤嶋貴樹のゲイミュージックワールド » 「ゲイミュージックワールド」第3回

Special

「ゲイミュージックワールド」第3回

ゲイミュージックを愛してやまない藤嶋貴樹さんによる本格連載「ゲイミュージックワールド」です。

「QUEER MUSIC EXPERIENCE」を世界に発信しつづけ、ゲイミュージックを愛してやまない藤嶋貴樹さん。ゲイインディーズを含め、世界中のゲイのミュージシャンについて語る連載「ゲイミュージックワールド」をお送りします。

第3回 ソラニワ vol.2観覧記

今回は、日本のLGBTインディー・ミュージック、通称ゲイ・インディーズのライヴ・イヴェントの模様をお伝えします。

とは言うものの、そのイヴェントが開催されてから実は既に1ヶ月近くの時間が経過してしまっているので、リアルタイムではお伝えできなかったことが、本当にお恥ずかしい限りなんですが。orz

今回お伝えするのは去る9月21日に新宿で開催されたLGBTのアコースティック・ライヴ・イヴェント、『ソラニワ vol.2』です。

さてさて。 具体的な話を始める前に、まずは日本のゲイ・インディーズの歩みと現状について、ざっと説明をさせてください。

日本のゲイ・インディーズ・シーンは、オープンリー・ゲイの文化人類学者・砂川秀樹さんが実行委員長を務められた東京レズビアン&ゲイ・パレードの開催を受けて、日本のゲイ・コミュニティが大きな盛り上がりを見せていた2000年前後の時期に、それと歩調を合わせるようにして、一気に顕在化しました。

もちろん、それ以前からゲイ・コミュニティを主な活動場所としていたアーティストさんは何組もいらっしゃいましたが、そうしたアーティストさん同士のネットワークが「ゲイ・インディーズ」と呼ばれるシーンを形成し始めたのは、この2000年前後の時期です。

2000年8月5日に東京・四谷で開催された、東京レズビアン&ゲイ・パレードの応援イヴェント『第1回 GAY & LESBIAN MUSIC FESTIVAL』以降、さまざまなLGBTのアーティストが一同に集うライヴ・イヴェントが、幾つも開催されるようになりました。その模様はゲイ・メディアでも積極的に取り上げられ、熱心なファンも現れ始め、ゲイ・インディーズ・シーンは、ゲイ・ナイトなどのクラブ・イヴェントとはまた異なった、独自の盛り上がりを見せるようになっていきました。

ゲイ・インディーズのライヴ・イヴェントは、ハッテン場やバーに比べると、ゲイの初心者でも比較的足が運びやすいということもあり、ゲイ・コミュニティにこれから足を運んでみようと考えておられる方々にとっての「入口」としての役割も果たしていた、ということは、このコラムを読んでくださっているみなさんにはぜひ強調しておきたいポイントの1つです。

さて、ゲイ雑誌『Badi』の2008年1月号の特集記事「Hello! GAY MAGAZINE」では、長谷川博史さん、小倉東さん、伏見憲明さん、田亀源五郎さん、そして伊藤文学さんという5人の「ゲイ雑誌の達人」のみなさんのインタヴュー記事が掲載されていました。その中で小倉さんや伏見さんは、日本のゲイ雑誌の今後について語るだけでなく、それと絡める形で、日本のゲイ・コミュニティの現状に対する憂いと、その今後の展望についてまでも、大きく踏み込んで語っておられました。

これというのは、つまり、日本の「ゲイ・カルチャーの盛衰」と「ゲイ・コミュニティの盛衰」とは、限りなくシンクロしている、ということを示していると思います。

考えてみれば当然の話ですよね。だって、ゲイ・コミュニティが盛り上がらなければ、そのコミュニティの文化であるゲイ・カルチャーだって、盛り上がりようがないわけですから。

このインタヴューの中で伏見さんは、今の日本のゲイ・コミュニティは「拡散」している、という表現を用いておられました。

そして、現在の日本のゲイ・インディーズ・シーンもまた、まさに「拡散」の状況にある、と言えます。

現在でも、出演アーティストの全員がLGBTであるというライヴ・イヴェントは、頻繁に開催されてはいます。しかし、それがLGBTのイヴェントであるということを表立って謳っているライヴは、本ッ当~に、ごく少数になりました。

これもまた、伏見さんが仰ったところの「拡散」を示す事象の一つだと、私には感じられます。

日本のゲイ・インディーズ・シーンは、東京レズビアン&ゲイ・パレードの開催というエポックを起点にして、ゲイ・コミュニティの盛り上がりと共に、ゲイ・シーンの1つとして顕在化しました。ということは、日本のゲイ・コミュニティが「拡散」してしまえば、ゲイ・インディーズ・シーンもまた、同じように「拡散」してしまうのです。

もちろん、これは何が正しくて何が間違っているのかという、単純な二元論でバッサリと斬れるテーマではありません。

日本のゲイ・コミュニティの「拡散」が示しているものとは、欧米型のゲイ・カルチャーを日本に移植することによって日本にもゲイ・コミュニティを築き上げようという従来の方法論が、限界点を迎えた、ということなのかな? と私は感じています。

日本の文化と風土に見合い、かつ、日本に暮らすゲイの福祉と利益に貢献できる(←この意識を共有してくださるかたの集合体こそが、コミュニティと呼べるものです)、新しい「日本型」のゲイ・コミュニティ、そして「日本型」のゲイ・カルチャーのあり方を、私たちは模索する時期に来ている、という気がします。

まあ、それはそうとして。

そんなふうに「拡散」を続けている日本のゲイ・インディーズの中にあって、現在でもLGBTの看板を明確に掲げて開催されている数少ないライヴ・イヴェントの1つが、今回紹介させていただく『ソラニワ』です。

しかし、『ソラニワ』は、従来のように欧米型のゲイ・カルチャーの方法論を導入しただけのものでは、決してありません。

『ソラニワ』は、シンガー・ソングライターの sola さんがオーガナイザーを務めているアコースティック・ライヴ・イヴェントです。そして sola さんは、ご自身が「ゲイ・ミュージシャン」であることを、随所で明言されています(今回のライヴのMCでも、やはりそのことを強調なさっていました)。

また、ご自身の書いた曲についても、「自分がゲイじゃなかったら、こういう曲は書かなかったはず」という主旨の発言を、sola さんは私が運営しているLGBTミュージック・サイト、Queer Music Experience.に掲載しているインタヴューの中で行なっています。

「最近、『自分のセクシュアリティと音楽のことは全く関係ない、音楽が良ければ全ていい』って話をあちこちで耳にするようになって。まあ、その結論はいいんだけど、自分は入口がすごく気になったのね。『関係ないんだ!?』って。『こういう自分だからこそ、この曲に行き着いてる』ってことを自分はすごく思ってるし、『自分がこうじゃなかったら、こういう曲は書かなかったはず』っていうことを考えたら、それは全然蓋ができない事実だから、それを受け入れて発表しなかったら、あんまり意味がないって思って。だから、自分はとてもじゃないけど、自分のセクシュアリティが自分の音楽とは関係ないとは言えなくて」

そして、同じインタヴューの中で、sola さんは次のようにも語っておられます。

「音楽は音楽でしかないんで、主義主張を掲げる場ではあんまりないとは思ってる。出来上がりが音楽として面白いか面白くないか、良いものか良くないものかっていうところに、どちらかといえばプライオリティーを置きたい。」

――これらの発言から見えてくる sola さんの「ゲイ・ミュージシャン」としてのスタンスとは、おそらく、ご自身の音楽を政治的な主義主張を掲げる場としてはとらえていないけれども、だからといって、ご自身の音楽と性的指向を切り離して考えることもしない、というものではないでしょうか。

言いかえれば、sola さんは「音楽が良ければ全ていい」という価値観を、「性的指向に蓋をして、外からは見えないものにするための方便」として掲げているのではなく、「LGBTミュージシャンの音楽が、純粋に『1つの作品』として評価されることによって、それに伴う結果として、LGBTの当事者の存在とその人品を、人々に認めてもらうことができれば、それは素晴らしいことだ」と考えておられるのではないでしょうか。私にはそう感じられます。

そして、そうした「ゲイ・ミュージシャン」としてのあり方は、トム・ロビンソンジミー・ソマーヴィルといった、海外のオープンリー・ゲイ・アーティストたちの先人と比したときに、良い意味で非常に「日本的」な、「日本型」のオープンリー・ゲイ・アーティストのあり方である、ということが言えると思います。

 (ちなみに、このコラムを読んで誤解されるかたがいらっしゃるといけないので、念のために書いておくと、sola さんが採っておられる「ゲイ・ミュージシャン」としてのスタンスは、あくまでも sola さん個人が「自分にはこのやり方がいちばんしっくりくる」と考えていらっしゃるものであって、「これこそがゲイ・ミュージシャンとしての普遍的、絶対的な正しいスタンスだ」ということを押し付ける類のものではありません。sola さんは他のゲイ・アーティストの方々のスタンスを否定してはいません。そのことは、Queer Music Experience.に掲載している sola さんのインタヴューの全文をきちんと読んでいただければ、どなたにもお分かりになってもらえるはずのことです。)

さて、いいかげん前置きはこのぐらいにして、9月21日に新宿のライヴハウス Future Nature Valve にて開催された『ソラニワ vol.2』の模様をお伝えしたいと思います。

出演アーティストは、sola さんの他には、灯(ともし)さん、大吾さん、藤本大祐さんの計4組。

どのアーティストさんも、たとえば「全ての人がHIVとともに生きている」というリアリティーを共有することを目指したプロジェクト Living Together 計画のパーティである Living Together Lounge への出演や、あるいは新宿二丁目のコミュニティ・スペース akta を会場にしてのライヴ開催、などといったように、音楽を通じてゲイ・コミュニティに参画・貢献することを実践されているアーティストさんばかりです。

トップバッターはさん。 灯さんはソロ活動の他にも、主に関西方面で活躍しているインディー・バンド Lush/Rush のヴォーカリスト・momo としての顔も持っている、若手シンガー・ソングライターさんです。

ソロ・アーティストとしての灯さんは、通常の対バン・ライヴへの出演のみならず、Living Together Lounge への出演や、あるいは男性のみのシチュエーション演劇集団 The Stag Party Show Tokyo の第1回公演『夜汽車にのって』の劇中歌のライヴ演奏を担当するなど、現在最も上昇気流に乗っているゲイ・インディーズ・アーティストの1人です。(この『ソラニワ vol.2』開催後の、9月28日と10月5日の2週に渡り上演された、The Stag Party Show Tokyo の第2回公演『キミの背中』でも、灯さんは劇中歌のライヴ演奏を行ないました)

灯@ソラニワ vol.2
(撮影/風太郎)

今回の『ソラニワ vol.2』では、灯さんは全6曲をパフォーマンス。うち3曲は、『夜汽車にのって』の劇中歌としても使用された楽曲です。

灯さんの音楽の魅力を支えるものとして先ず挙げられるのは、その歌声。非常にナイーヴな印象を与える声でありながら、同時に伸びやかで力強く、しかも豊かな声量で、聴く人の心に染み入るような余韻を残します。

また、その作品世界は、郷愁を感じさせる情景描写の中に、現代社会の刹那的・享楽的な空気に対する若者からの痛烈な批判精神が込められていて、それが灯さんのナイーヴかつ力強いヴォーカルと1つになることで、みずみずしさを存分にたたえた、潤いのあるアコースティック・ロックが生み出されています。

そうした灯さんの音楽の特色がギュッと濃縮されているのが、『夜汽車にのって』のテーマ・ソングでもあり、今回の『ソラニワ vol.2』のパフォーマンスでも最後に演奏された「川の流れのようだ」。タイトルを見ただけではまるで美空ひばりさんの名曲のパロディのようですが、実に感動的な、心を揺さぶる名曲です。傷つきやすさと背中合わせの強さ、そして切なさ。時代と社会に迎合するだけの生き方を疑おうともしないオトナたちに抗おうとする批判精神――。灯さんの世界観を形成している多くの要素が、この曲の中には詰まっています。

 『夜汽車にのって』のライヴ演奏は、『LIVE 夜汽車にのって』のタイトルで、1枚のCDにまとめられています。みなさんもぜひ聴いてみてください。

灯さんのブログでは、視聴用音源のダウンロードが可能です。 http://lushrush.cocolog-nifty.com/blog/

次に登場したのは、大吾さん。

大吾さんがゲイ・インディーズで音楽活動を始めたのは2002年。このときはバック・コーラスとしてのライヴ出演でしたが、彼の真直ぐな人柄を感じさせる、その温かい歌声は、バック・コーラスとしての出演であったにもかかわらず、当時のゲイ・インディーズ・シーンからの大きな注目を集めました。翌2003年に、大吾さんはご自身のユニット・大吾yを結成、本格的なアーティスト活動を開始して、さまざまなゲイ・インディーズ・ライヴへの出演を重ねてきました。新宿二丁目のコミュニティ・スペース akta を会場にしての無料ライヴを開催した実績もあります。

CDのほうは、2005年にシングル「HEAVEN'S SOUL」をリリース。昨年11月には初のソロ・シングルとなる「Take the deep breath」をリリースしています。

大吾yは残念ながら今年の4月に解散が発表されたものの、大吾さん自身はソロ・アーティストとして引き続き活動を継続しています。

大吾@ソラニワ vol.2
(撮影/風太郎)

さて、今回の『ソラニワ vol.2』ではオケを使用してのパフォーマンスでしたが、「HEAVEN'S SOUL」「PSYCHOPHOR ~心搬体~」といった、ファンには既にお馴染みのオリジナル曲を含む最初の4曲は、アコースティックを意識した、ピアノ1本のアレンジ。そして、新曲「farewell」のお披露目に続いて、「今いちばん大切に歌っている曲」だという名バラード「Take the deep breath」を熱唱してくれました。

音楽活動を始めたのが2002年ですから、大吾さんのゲイ・アーティストとしてのキャリアはかれこれ5~6年になるんですが、良い意味でいつまでも初々しさが損なわれていないところが大吾さんのパフォーマンスの魅力です。その理由とは、常に1曲1曲に120%の気持ちを込めて精一杯歌うという姿勢を、キャリアの当初から貫き続けているところにあるのだと思います。ライヴ活動を決してルーチン・ワークとはとらえず、常に新鮮な気持ちでステージに上がっている大吾さんの歌声からは、何事にもひたむきな大吾さんの心のありようが伝わってきます。

ソロ・アーティストに転じたことで、シンガー・ソングライターとしての側面も徐々に表しつつある大吾さん。これからがますます楽しみです。

大吾さんの MySpace では、楽曲の視聴ができます。 http://www.myspace.com/daigofive
大吾さんの mixi コミュニティはこちら。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=256959

次は、藤本大祐さん。

藤本さんも、既に数度に渡って Living Together Lounge へのライヴ出演の実績があり、ゲイ・コミュニティに密着した音楽活動を展開しているアーティストさんの1人です。それだけではなく、藤本さんはゲイ・コミュニティの外でも活発にライヴ活動を行なっています。そもそも藤本さんは、ゲイ・コミュニティとそれ以外の場所を、「内」と「外」という二項対立的な概念でとらえてはいらっしゃらないんですね。

ゆえに、藤本さんは相当な本数のライヴ・パフォーマンスをこなしてきているはずで、20代前半という若さでありながら、軽快な曲もメロウなバラードもアコースティック・ギター1本で自由自在。豊富な経験に裏打ちされたヴォーカルと演奏を聴かせてくれます。

藤本大祐@ソラニワ vol.2
(撮影/風太郎)

作品世界のほうも、その若さを考えるとむしろ意外ですらあるような、深遠な言葉によって紡がれています。清濁併せ呑む、とでも言えるような。たとえば、光と影が常に表裏一体であるように、藤本さんが曲の中で描き出す感情は、「楽しい」とか「悲しい」とかいったような、そうした一語で単純に表せるものではありません。

相反しているように見える2つの感情が表裏一体となって、セピア色の情景の中に織り込まれているような。そんな印象を、私は藤本さんの世界に感じます。

藤本さんのヴォーカルにも、それは共通して言えることだと思います。藤本さんの歌声はとてもエモーショナルで、静から動、動から静のコントラストが実に見事なんですが、藤本さんの場合、単に振幅があるというだけでなく、たとえば囁くような静の表現の中にも激しい感情が込められていたり、あるいは動的な熱唱の頂点で、爆発寸前の感情を一歩手前のところでグッと抑えるといったような、奥行きのある感情表現が実現されています。

激しい静けさ。あるいは静かな激しさ。

楽曲のさまざまな部分にちりばめられた鮮明なコントラストが、藤本さんの作品世界に、そうした深みを与えているのだと思います。

藤本さんの公式サイトは、以下のURLとなります。 http://tokyo.cool.ne.jp/fujimotodaisuke/
そして、藤本さんの mixi コミュニティはこちら。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=3340709

そして、いよいよ、このライヴ・イヴェントのオーガナイザーでもある sola さんの登場。

sola さんは、ゲイ・インディーズの黎明期の2000年に、CD『そらいろのうた』をリリースしてデビュー。翌2001年には東京レズビアン&ゲイ・パレードの関連ライヴ・イヴェント『PRIDE GIG X3』でライヴ初登場。以降も堅実に、ゲイ・コミュニティの内外を問わず、ライヴ活動を積み重ねてきました。ゲイ・インディーズの黎明期から今もなお変わらずに第一線で活躍し続けている、数少ないアーティストの1人として、現在の sola さんは、ゲイ・インディーズ・シーンに大きな存在感を放っています。

私は2001年の『PRIDE GIG X3』以来ずっと、数多くの sola さんのライヴを観させてもらっていますが、今回の『ソラニワ vol.2』は、これまでの sola さんのパフォーマンスの中で最高のものだったと断言できます。

sola@ソラニワ vol.2
(撮影/風太郎)

1曲目は「beautiful」。この曲は、同性のパートナーと共に歩み育んできた人生の最期にあたり、いったいどちらが相手を看取るのか、そして私たちはいったい何を残すことができるのかという、LGBTにとっては心に重く圧し掛かるテーマに取り組んだ、しかしタイトルどおりにこの上なく美しいナンバーです。今回のパフォーマンスでは、アイリッシュのテイストが加味されていました。CD化は未だなされていない曲ですが、ファンの方々であれば一緒に口ずさめるほどに愛されている、sola さんの代表曲の1つであり、かつゲイ・インディーズ史上に残る名曲の1つです。この数年来の sola さんのライヴ・パフォーマンスでは、ラストで歌われることの多かったこの曲を、あえてオープニングにもってきているところに、sola さんの今回のライヴへの強い意気込みが感じられました。

 「Bloom Again」「けれど空は今日も青」「満月の夜においで」とオリジナル曲のパフォーマンスが続いたあと、5曲目に歌われた「雲雀」は、sola さんのオリジナル曲ではなく、屋良朝友さんのカヴァー。屋良朝友さんは、既に1980年代からゲイ・コミュニティで音楽活動を始めていた、日本のオープンリー・ゲイのインディー・アーティストの先駆者であり、今もなお、さまざまなライヴ・イヴェントで活躍中という、その歴史自体がゲイ・インディーズの歴史でもあるようなかたです。「雲雀」は、そんな屋良朝友さんの代表曲の1つで、ヴィデオ・マガジン『VG-men』vol.24のエンディング・テーマにも使用されました。また、2000年~2001年にかけての日本のLGBTパレードの模様を撮影したドキュメンタリー作品『ALWAYS PROUD』には、この「雲雀」のヴィデオ・クリップが収録されています。

屋良さんのライヴではアコースティック・ギター1本の弾き語りで歌われることの多い「雲雀」ですが、今回の sola さんのカヴァー・ヴァージョンは、おそらくは屋良さんのアルバム『Gay Street Lullaby』に収録されているヴァージョンを基にしたであろうアレンジで、荘厳さすら漂う演奏と、1つひとつの言葉を丁寧に、いたわるようにして歌う sola さんのヴォーカルが1つに溶け合った、実にスケールの大きなパフォーマンスとなりました。

続いては新曲「咎人」(とがびと)を初披露。この曲は、ペガーさん強制送還未遂のニュースに触発されて書かれたものだそうです。「ゲイ・ミュージシャン」の看板を掲げるのであれば、このことは歌わなければいけないことの1つなのではないかと思っていた、と sola さんはご自身のブログの2008年8月30日付のエントリで、この「咎人」について、そう書かれています。

そしてラスト・ナンバーは、このライヴ・イヴェントのテーマ・ソング的な存在の「ソラニワ」。前回の『ソラニワ』で初披露した際には、オーディエンスからの拍手がいつまでも鳴り止まなかったほど、大きな感動を生み出した曲です。今回の『ソラニワ vol.2』でもそれは変わらず、アンコールを望むオーディエンスの拍手に応えて、最後にもう1曲、「羊ヶ丘」がパフォーマンスされました。

「羊ヶ丘」もまた、sola さんの代表曲であると同時に、黎明期のゲイ・インディーズを代表する、ゲイ・インディーズ史上に残る名曲でもあります。変拍子を多用しつつも、オーディエンスの心を軽やかに弾ませずにはおかない、青空の清々しさをそのまま音楽にしたようなこの曲は、会場に集まったすべての人たちの心を1つに結んだ、今回の sola さんのパフォーマンスを締めくくるにふさわしいものでした。

sola さんの公式サイト solascape のURLはこちら。 http://homepage2.nifty.com/solascape/

そして、sola さんの mixi コミュニティのほうでは、sola さんの最新情報の他、これまでのライヴ動画も観られます。
http://c.mixi.jp/solascape

さてさて。

回を重ねるごとに1回分のヴォリュームが増していく、雪だるま式の連載となりつつある、この「藤嶋貴樹のゲイミュージックワールド」ですが、第3回目はここまで。お読みくださったみなさま、どうもありがとうございました。

日本にも、素晴らしいゲイ・アーティストの方々が、たくさんいらっしゃいます。みなさまもぜひ一度、ゲイ・インディーズのライヴに足を運んでみてはいかがでしょうか。

ていうか、運んでください。

そこには、「私たちの音楽」との出会いが、あなたを待っているはずです。必ず。

では、また次回まで!