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Ain't No Mountain High Enough(2)うつとはどんな病気なのか?

「うつ」についてよくわかる最良のガイド本をご紹介します。

「うつ」になるゲイの人がとても多いと言われています。なぜゲイはメンタルヘルスを悪化させやすいのか? いざなってしまったらどうすればよいのか? 予防はできるのか?など、ゲイにとっての「うつ」を考えるシリーズ記事をお送りします。第2回目は「うつ」についてよくわかる最良のガイド本をご紹介します。

「うつ」になるゲイの人がとても多いと言われています。なぜゲイはメンタルヘルスを悪化させやすいのか? いざなってしまったらどうすればよいのか? 予防はできるのか?など、ゲイにとっての「うつ」を考えるシリーズ記事をお送りします。第2回目は「うつ」についてよくわかる最良のガイド本をご紹介します。

 
「うつ病」とはどんな病気なのか?を知ろうとすると、ぶ厚い本を何冊か読むことになったりします。専門的な教科書みたいな本もあり、たくさんの臨床経験をまじえながらいろんなタイプのうつがあることを語っている本もあり、うつになりやすい性格について書かれた本、うつを克服するための治療法についての本なども山のように出版されています。

 もっと誰でもわかる、イメージできるような本はないものか…と思っていたところに登場したのが、この『ツレがうつになりまして。』という漫画エッセイです。会社でバリバリ働いていたダンナさんがある日突然うつになり、奥さんは右往左往…しかし、どっかりと腰を据えて、いっしょにうつの治療に取り組んでいくという実話エピソード集で、うつの大変さがまざまざと伝わってきますが、二人の愛の強さに感動しつつ、ちゃんと治るんだ、と希望が持てるような、素晴らしい本です。これが25万部の大ヒットをして、続編『その後のツレがうつになりまして。』も出版されました。(先頃、NHKでもドラマ化されました)

 とっかかりとしても、今現在うつで苦しんでいる人にとっても、とてもイイ本だと思いますので、まだ読んでいない方はぜひ!

 

ツレがうつになりまして。


    ツレがうつになりまして。
    細川貂々/幻冬舎文庫/480円
 ツレさんは、仕事をバリバリこなすスーパーサラリーマンでした。精神的に強く、明るく、まじめで、カンペキ主義で(曜日毎にネクタイの色や弁当のおかずをきっちり決めていたそうです)、貂々さんも「あの人がまさかうつになるなんて…」と思っていました。

 ある頃から、夜眠れなくなり、精気がなくなり、貂々さんはダンナを病院に行かせます。うつと診断された後もツレさんは会社に通い続け、「自分はダメ人間だ…」と思い込み、駅のホームで飛び込もうとさえします。そんなツレさんに、「会社をやめて休みなさい」と貂々さん。

 やっと会社を辞めて治療に専念することにしたツレさんは、家で家事を担当することに。しかし、事あるごとに布団にこもり(カメフトン)、泣いたり、ぼーっとしたり、大好きだったクラシック音楽も聴けなくなります。ひとりでいることができず、雨の日は寝込み、「自分は生きてる価値がない」と、自殺未遂もします。いちばん症状が重くてつらい時期でした。

 うつになって半年が経ちました。回復期に入ったツレさんは、図書館でCDを借りてきたり、貂々さんと散歩をしたり、陶芸にチャレンジしたりしながら、少しずつ明るい気持ちを取り戻していきます。が、気持ちは浮いたり沈んだり。

 確定申告をやり遂げたことで自信をつけ、電車にも乗れるようになった頃、うつになってから1年が経っていました。何度もダメだと思っていたツレさんは、やっと「カンペキでなくてもいい。ありのままの自分でいいんだ」と思えるようになっていました。

 

その後の ツレがうつになりまして。


     その後のツレがうつになりまして。
     細川貂々/幻冬舎文庫/480円
 1年半後、ツレさんはまだ浮いたり沈んだりの生活でした。この頃には二人とも「なっちゃったものはしょうがないよね」と病気を受け止めることができるようになっていました。

 そして、漫画家だった貂々さんは、経済的にも行き詰まっていたので、このうつという病気のことを漫画にして世間の人たちに知らせたいと出版社に持ち込み、幻冬舎が見事に企画をOKしてくれました。

 本が発売になり、どんな反応が出てくるか不安だった二人ですが、共感や励まし、感謝のメールがたくさん届き、二人は喜びました。

 ツレさんはだいぶよくなってきたように見えましたが、突然ネガティブな思考に襲われたり、まだまだ大変でした。

 ツレさんは、電車に乗って旅行に行くことや、人が大勢いる劇場などに行くこと、会社勤めをすることをあきらめました。

 でも、明るい宅急便屋さんのおかげで電話をすることができるようになり、講演会のお話をいただいて、見事にツレさんは講演を成功させ(逆に貂々さんは緊張してしゃべれなかったそうです)、自信を取り戻してきました。そして、貂々さんの漫画の仕事を管理する会社を作ることにしたのです。かくしてハイパー専業主婦は会社社長にもなったのです。

 最後に、「うつ病になって、ツレの性格がまるっきり変わってしまったと思ったけど、病気をしていろんな経験をして、より自然に楽に生きられるようになったと思います」と貂々さんは語っています。「うつになって、よかった」と。あとがきでツレさんは「自分のことを誇りに思う」と書いています。

必要以上に怖がることはないのでは?

 僕らは「ゲイでよかった」と思う瞬間はあるかもしれないけど、「うつになってよかった」とはなかなか思えないと思います。本当にしんどいし、できればならずにいたかった…と。しかし、1年半も「うつ」と格闘してきた(ある意味、地獄を見てきた)貂々さんとツレさんが「うつになってよかった」「誇りに思う」と最後に言ってくれたことは、素晴らしいことです。感動させられます。

 もし、ツレさんが「うつ」にならず、あのままスーパーサラリーマンとして働き続けていたら、体にガタがきて過労死ということにもなっていたかもしれません。そう考えると、体に異変があると痛いと感じるように、「うつ」は「もうこれ以上無理しちゃいけないよ」という心のシグナルだと言えるのではないでしょうか。

  「うつ」は確かにとてもしんどい病気ですが、必要以上に怖がることはない、もっとポジティブに捉え返してみてもいいのではないかと思います。