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12月18日(金)、第5回目となる『ポエトリー・リーディング Think About AIDS~TOKYO FM×Living Together』がTOKYO FMホールで開催されました。今回はトップバッターの清水ミチコさんが観客を爆笑の渦に巻き込み、トリのFRIED PRIDEさんがアツいライブで会場を盛り上げ、最高にエンターテインメント感あふれる、楽しい夜になりました。
12月18日(金)、第5回目となる『ポエトリー・リーディング Think About AIDS~TOKYO FM×Living Together』がTOKYO FMホールで開催され、一般の方々にまじって大勢のゲイの方たちが会場に詰めかけていました。今回はトップバッターの清水ミチコさんが観客を爆笑の渦に巻き込み、トリのFRIED PRIDEさんが予想外にアツいライブで会場を盛り上げ、エンターテインメント感あふれるイベントとなりました。
ハイクオリティなエンターテイナーたちのパフォーマンスや、日本を代表する知性がHIV陽性者への共感を語ってくれた、というだけでも素晴らしいのですが、誰もが笑って楽しめるイベントだったということがさらに、今まで以上に『ポエトリー・リーディング Think About AIDS』にプラスを与えていたと思います。HIVについて語るとき、人は必要以上に深刻になってしまったり、まるで「笑うなんて不謹慎」と言わんばかりのしんみりした雰囲気を醸し出すことが多かったと思います。が、この夜は、そうではありませんでした。HIV陽性者の方たちが、クリスマスらしく「祝福」を感じながら笑って楽しく過ごすことができたと思います。最高に素敵でした。
出演順に、ゲストの方々のパフォーマンスについて、レポートをお届けしたいと思います。(後藤純一)
『ポエトリー・リーディング Think About AIDS』
12月18日(金)@TOKYO FMホール
主催:TOKYO FM
後援:エイズ予防のための戦略研究MSM首都圏グループ(研究リーダー:市川誠一)

清水ミチコさん
みんな大好き、清水ミチコさん。登場と同時に大きな拍手が起こりました。ピアノ伴奏しながら手記を読んだあと、彼女はこう語りました。「手記を書いた人、お笑い芸人の人たち、『誰でもピカソ』とかに出てるようなアーティストの方たち、この三者に共通することがあります。それはなんでしょう?「私はここに生きています」と言っているということです」。さすが、いいこと言ってくれます。
後半は、桃井かおり、みゆき、ユーミン、井上陽水など、お得意のものまねを次々に披露し、会場はハンパなく爆笑の連続でした(たぶん、研ナオコがいちばんウケてたと思います)。ときどき会場にピースしたり、楽しそうにライブしていた「みっちゃん」ですが、なんと、会場の盛大な拍手に応え、今年ワイドショーを席巻した「あの人たち」に関する放送禁止なアンコール曲を歌ってくれました。間違いなくオンエアはされませんが、あの会場に来られた方たちだけの特典だったということで。

高橋源一郎さん
高橋源一郎さんは80年代に『さようなら、ギャングたち』『優雅で感傷的な日本野球』『文学がこんなにわかっていいかしら』などをヒットさせ、ポストモダン文学の旗手と呼ばれた(それでいてポップな作風の)作家です。自分の思いを文章に表すことの「気恥ずかしさ」への敏感さという点で右に出る者はいませんが、それは学生運動で300日間拘留された後に失語症に陥るというヘビーな経験を経たからこその、言葉へのあまりにも深い思い入れでした。「ナイーブ」という言葉が最もふさわしい作家さんだと思います。
そんな高橋さんは、2歳9か月になる次男が高熱で病院に救急搬送され、医師に「急性脳炎です。回復しても障害が残る可能性が高い」と言われたときの経験を語ってくれました(3日ほど悩み続けた父親とは対照的に、母親は医師に言われた瞬間に「何があってもこの子を守る」と決意していたそうで、母の強さに感じ入ったそうです)。また、森進一の追っかけをしていてそのまま倒れ、亡くなったというお母さんのことも、ユーモアまじりに…そうした人生の機微を、作家ならではの描写力で語ってくれました。心にしみるトークでした。
『桜』のヒットで知られる河口恭吾さんは、今回、アジアの平和ソングとして広がりを見せている『地球兄弟』などのアコースティックライブを披露してくれました。
明るくてさわやかで屈託のない好青年という感じで、二丁目に行ったらマジ惚れされそうなタイプ、と思っていたら、ミュージシャンを目指して栃木から東京に出てきたばかりの頃、二丁目近くのお寿司屋さんでバイトをしていて、二丁目に飲みに連れて行ってもらったこともあり、なんと、ファーストキスは男性(ゲイバーのお客さんに無理矢理)だったんだそうです。ますますゲイのファンが増えそうな、優しくて素敵なライブでした。

松下由樹さん
『週末婚』や『大奥』など、TVではわりとキャラの立った役柄を演じてきたことでゲイに人気を博している松下さんですが、ご本人はとても品のいい女優さんでした。
「恥ずかしながら、HIVのことを身近に感じたことはないのですが…」と正直に語りながら、「もっと周りの人たちが、こういうことを日常の会話の中で語れるようになったらいいな、と思いました」とコメントしてくれました。

茂木健一郎さん
TVで観るのと同じで(笑)、どことなく落ち着きがない様子の(そこがカワイイ)茂木さんは、「普通の人なんてどこにもいない。出世や結婚のような世間が押し付ける価値観にとらわれる必要はない」と熱く語りました。「コンピュータ科学の父」と言われる天才数学者アラン・チューリングが、ゲイであったがゆえに「普通」への矯正措置を施されて自殺した話や、オスカー・ワイルドが投獄された史実をひもときながら、『獄中記』の中野「自分の魂の軌道はだれにもわからない」という言葉を紹介してくれました。
リーディングの後、MCの堀内さんとのトークでは、「私自身も変人ですし。このズボンも1年以上はき続けてますから」と言って、客席をなごませていました。
正直、FRIED PRIDEというユニットを知らなかったのですが、演奏が始まるやいなや「この人たちはスゴイ!」とみるみる引き込まれました。最初に演奏されたのはマイケルの「BAD」だったのですが、ギター1本であのFUNKなグルーヴ感を生み出していることが奇蹟で、SHIHOさんの歌も、マイケルの曲を歌うというプレッシャーをものともしないソウルを感じさせました。大物です。2曲目はオリジナル曲。スウィートなBOSSAがたまらなく心地よく耳を癒してくれました。そしてゲイにとっての永遠の名曲、カーペンターズの「Close To You」をオリジナルのアレンジで。会場みんなでコーラス(ちゃんとハモる本格的なコーラスです)も歌い、心が一つになった気がして。最後はギターの超絶技巧を駆使したドROCKな「Purple Haze」で締めてくれました。「Living Together」のコール&レスポンスといい、ウェーブといい、まさかあのホールであんな盛り上がりが!と驚きました。
興奮さめやらぬまま会場を後にしましたが、あらためて、たくさんの著名な出演者の方々のトークやライブを無料で楽しめる幸せな時間に、そしてそうした素晴らしい時間を作ってくれたディレクターの方やLiving Together計画の方たちに感謝したい気持ちで胸がいっぱいになりました。
次回は来年の6月です。今度はどんな素敵なゲストが登場してくれるのか、今から楽しみです。
今回のイベントの模様は、12月29日(火)18:00~18:55にTOKYO FMで放送されます。残念ながら会場に行けなかった方はぜひ、オンエアをチェックしてみてください!